第8話 頭蓋骨との関係
夜となり署に戻ってきて、捜査会議の開かれる二階に上がると、一人の男とすれ違った。
明らかに刑事ではなく、疲れ切った顔をした初老の男だった。
見覚えがある。
出島はそう思った。
その背中を見送ると、近くにいた所轄の刑事に聞く。
「今の男は?」
「あ、ええと。被害者の父親です」
すでに菊市伊佐奈のことは報告済みだったので、直ちに親族が呼ばれ身元確認のついでに話を聞いたということだろう。
だが、あの男の顔は娘を亡くした悲しみではなく、単に疲れ切った顔だった。
子供の死に感心を示していないような表情。
それに見覚えがあった。
刹那、出島の頭の中で記憶がつながる。
「会津! あの男を捕まえて呼び戻してくれ!」
「は、はい」
後ろで未だ立ち直っていない会津に檄を飛ばす。
すぐに会津は階段に向かった。
「すまない君、被害者のDNAはすでに取ってあるな?」
所轄の刑事に聞く。
「ええ。もちろん」
「すまないが、照合を頼みたい」
「え? 先程の父親とですか?」
「違う! 頭蓋骨との関係だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます