第5話 蒼夜に連れられ
友達の
「何歌う?」
俺は蒼夜に尋ねる。こいつ、どんな曲を歌うのか全く想像できない。流行りの曲とかかなぁ。
「日本国民なら国歌だろ」
「え、お前そういうやつだっけ?」
「知らん」
無言で国歌を入れた蒼夜。俺は死んだ魚の目で眺めていた。
「はぁ疲れた疲れた」
「まだ一曲だよ馬鹿」
無駄に97.487点ととても高く、逆にどこでミスったのかを聞きたいくらいだ。
「そういや、こんなん歌ってる場合じゃなかったわ。伊織、お前に聞きてぇことあるんだけど」
「なんだよ」
「お前、
「え…?なんで知ってる…?」
俺、誰にも言ってないぞ?何で蒼夜が優花のこと知ってるんだよ…?
「優花がお前に凄え目を向けてたぞ」
そう言った次の瞬間、蒼夜がまさかの事実を俺に伝えた。
「実はさ、俺腐れ縁何だよね、優花と」
衝撃の事実だった。幼馴染ってことだよな?
「あいつ、ずっとあんな感じなんだよ。彼氏作って振ってを繰り返してるんだよ、お前も巻き込まれて災難だな」
「あぁ…そうだよな…」
確かに、そういえばそんな感じの性格だよな。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結局、あの後は蒼夜とストレス発散と題して、ロック調の曲を歌い続けた。あいつもあんなの歌えるんだなぁって。
「優花のやつ、どうしようかなぁ…」
今は割と振る方向で頭の中で話は進んでいる。問題はどうやって振ろうか。シンプルにごめんなさいかな。でも、新島誠の時のあの気持ちは忘れない。傷ついたあの気持ち。少しだけ、やり返そうと思う。2日後、覚悟しておけよ、笹原優花。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆翌日。至って普通に学校へと向かい、授業を受ける。昨日の夜は早く寝たお陰か、全く眠くない。睡眠って凄え。昼休みまで余裕に授業を受けきった俺は、蒼夜の所へと走った。
「蒼夜っ」
「伊織か…どうした?俺眠いんだけど」
「起きろ、明日笹原優花に返事してくるわ」
「何!?蒼夜、目が覚めました」
「なんやこいつ」
「楽しみだなぁ…お前の決断」
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