第49話 見た目は20代だけど
依頼達成の報告のためにギルドを訪れて、一番に驚いたのはアリシアさんがカヤさんの事を知っていたことだった。
「あ、マリアちゃんにユーリー君、こんにちは」
「それと、お久しぶりです。カヤさん」
「ご無沙汰しております」
「え!?アリシアさん、カヤさんの事、ご存じなんですか?」
「ええ…と、言いますか、カヤさんはこの聖王国内では、凄腕の冒険者として知られていました」
「当ギルド本部からの
はぇー、と声を上げた私たちは、カヤさんの顔をまじまじと見つめた。
くすくす、とアリシアさんが笑っていたので、きっとはしたない顔をしていたに違いない。
「それはともかく、依頼を達成されたから来られたのよね?マリアちゃん」
「あ、そうでした。こちらを」
そう言って、私は鞄から依頼者のサインが入った書類を差し出した。
「ええと…はい、間違いないですね」
「それでは、しばらくお待ちください」
そうして、アリシアさんが奥の部屋に消えて行く。
「カヤさんて、凄い冒険者さんなんですね」
先に口を開いたのはユーリーだった。
「昔の話です。そうですね、もう10年も前になります」
「ということは、今はされてないんですか?」
これは、私。
「はい。あくまで臨時的に冒険者をしていただけですので」
カヤさんによると、過去に討伐された魔王の残党を狩るためだけに冒険者になっていたのだという。
あれ?私がもし魔王になったら、カヤさんに狩られる流れじゃないの?これ。
そんなことを思っていると、アリシアさんが奥の部屋から再び姿を現した。
「はい、どうぞ」
アリシアさんから差し出された袋の中身を見て、間違いがないかどうか確認した後、受領書にサインをする。
「はい、今後ともよろしくお願いしますね。マリアちゃん、ユーリー君」
「はい」
と、私たちは、それに応えた。
「あ、そうそう。カヤさん」
「はい、何でしょう」
「冒険者に復帰するつもりはないかしら?」
「有難い申し出ですが、今はマリアさん達の戦闘指南と護衛の任務がありますので」
「そう…残念」
「でも、いつでも歓迎していますよ」
そう言って、アリシアさんは満面の笑顔を見せた。
私たちも、こういう風になりたいものだと、お互い顔を合わせて思ったのだった。
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