第46話 ずんぐりむっくりのアレ
カヤさんが来られてから2週間ほど経ち9月の初旬。
彼女の部屋は、私たちが寝室として使っている部屋の隅にある物置用のスペース。
大きさとしては一人用のベッドと小さな机がギリギリ置けるくらいの広さしかない。
通路は、ベッドと机の間の70cm程で、窓なんて当然無い。
ベッドと言っても、高さ50cm程の正方形の木箱を並べて作った、幅1m奥行2mの簡易ベッドである。
部屋はいくらでもあるのだけれど、彼女は狭いところが好みらしく、そこが良いのだという。
昔にテレビで見た、猫型ゴーレムのことを思い浮かばせる。
それはともかく、カヤさんがパーティに加わってくれたおかげで、引き続きナプリの街にも出掛けることが出来るようになった。
とはいえ、あれから山賊は全く現れてはいないのだけれど。
「はい。今日はこのくらいまでにしましょう」
「ありがとうございました」
私たち二人は、息を切らせながら言う。
依頼をしない日は、午前と午後の2時間を訓練にあてているのだけれど、終わる頃にはくたくただ。
とはいえ、最初の頃に比べたら遥かにマシな状態になって来ていた。
「それにしても、この部屋、結構広そうですね」
訓練に使っている例の地下部屋を一瞥しながら、ユーリーはカヤさんに話しかける。
「そうですね。中庭と同じくらいの広さがありますので、全貌を見ようと思うのであればレベル4以上のライトの魔法が必要ですね」
カヤさんはそう言うと、ライトの魔法を使う。
すると、視界が一気に広がり部屋の全貌を見渡せるようになった。
カヤさんの言われたとおり凄く広い部屋で、端の壁がはるか遠くに見える。
「でも、どうして訓練でライトの魔法を使われないのですか?」
ユーリーは、疑問に思った事を口にした。
「それは、ダンジョンにおける戦闘に慣れてもらうためです」
「この暗い中での戦闘に慣れておくことで、地上での戦闘も楽になります」
「何も戦闘は日の出ている時間帯とは限らないのですから」
「なるほど、そうだったんですね」
「そういうわけで、明日から松明を一つにしますね」
「えっ!?」
私たち二人は、そう驚きの声を上げたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます