第45話 餡の入ったお菓子が食べたくなってきた

再び居間。


テーブルには、私たち二人が並んで座り、その真向いにカヤさんが座っている。

目の前に置いているお茶菓子は、ユーリーに代わって私が用意したものだ。


「私たちの実力はどうでしたでしょうか」


「そうですね。お二人とも年齢にしては、かなり上出来かと思います」

「ただ、現状ですと退治や討伐は厳しいと言わざるを得ません」


私たちは目を合わせて落胆する。

おじ様にも言われていたので、分かってはいたのだけれど。


「ですので、今後も今までの依頼をこなしつつ、私の稽古も受けて下さい」

「具体的には…そうですね、来年の春までは我慢して下さい」


今は8月下旬に入ったばかりなので、つまりは半年以上。

こうして、その間カヤさんも城に住むことが決まった。


「ところで、お聞きしたいことがあるのですが」


「なんなりと」


「言いにくい事でしたら、無理にとは思っていないのですが」

「カヤさんは人ではない・・・・・と言われておられましたが、それは魔族…とか、そういう意味なのでしょうか」


「私は、人ではありませんし、かと言って魔族というわけでもありません」

「そもそも、私は生物というカテゴリには属しておりません」

「私は、ネネカ様によって作られたアンドロイドですから」


アンドロイド?


聞いたこともない言葉だった。

ユーリーの方に顔を向けたが、ユーリーも首を横に振るだけだった。


「あん…どろいど…とはなんでしょうか」


「これは失礼いたしました」

「端的に申し上げれば、自立思考型のゴーレムのような存在です」


「ゴーレム…」


こんな人型の精巧なゴーレムなど見たことも聞いたこともない。

ましてや、自分で考えて動くなんて。

彼女を作ったという、おばあ様は…一体、何者なのかしら。


作られた人形・・・・・・に教わるのもお嫌でしょうが、宜しくお願い致します」


「いえ、そのような事は思ってもいません」

「私たちこそ、宜しくお願い致します」


そう言って、私たち二人は立ち上がり、カヤさんに深々と頭を下げた。


「ふふ…やはり、あなた方・・・・はネネカ様と蒼治良様の血を引くお方ですね」


そう言うと、彼女は私たちに初めて笑顔を見せたのだった。

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