第41話 ママが情報漏洩したに違いない

ユーリーの実家に到着した私たちは、先日起きた事件について話した。


「いやぁ、まさか、あそこに山賊が出るなんてねぇ」


「本当に不思議ね。あなた」


話を聞いた、おじ様とおば様の感想。

やはり、アリシアさんと同様、あの地域で山賊を見たことが無いという。


「もしかしたら、何か良からぬ者が暗躍している影響かも知れないね」


おじ様は、そう続けられた。


「それで、父さんと母さんに相談があって」


「わざわざ家まで来たということは、これからは危険な依頼もやって行きたい、って言いたいんだろう?」

「それ自体に反対はしない」


「じゃあ…」


「だがな。今のお前の能力では、ジャイアント・ラット1匹を同時に相手にするのがせいぜいだろう」


「…そう…だね」


「退治系の依頼は、最低でも十数匹、多ければ100匹以上にもなる」

「最低でも3匹同時に相手出来なければ、何かあった時にマリアちゃんは守れないぞ?」


「おじ様」


「どうしたんだい?マリアちゃん」


「元々、危険な依頼も受けようと言い出したのは私です。責めるなら私を責めて下さいませ」


私の頬を膨らませた顔に、おば様は何故か苦笑していた。

そして、おじ様に向かって、次のように言われた。


「あなた、少し言いすぎですよ」


「あ、いや、そんなつもりは無かったのだが、つい…」


「この子は昔から危険な橋は渡らない子だったから、マリアちゃんの発案だろうというのは、私もこの人も最初から分かっていたのよ」


満面の笑みで、おば様は言われた。

あれ?お二人の前でお淑やかな女性として振舞っていたのに、今までの努力は無駄だったの?


「まぁ、ともかく。そこで、だ」

「私が直接鍛えてやろう…と言いたいところだけど、私も色々と用事があってね」

「とりあえず、先方には既に話を付けていてね。近日中にそちらにやって来るだろうから、その人のいう事に従ってくれ」

「以上だ。何か質問はあるかい」


「いえ、私はございません」


「僕もありません」


こうして、私たちは再び城に戻っていったのだった。

なお、帰りにおば様お手製のお弁当を頂いたのは言うまでもない。

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