第40話 時は来た その3

その日は色々な事があり過ぎて疲れていたせいか、眠りに就くのも早かった。


(あれ?ここは…いつもの場所…よね)


『はろー。マリア』


(あ、神様。おはようございます)


私はそう言って、立って(たぶん)お辞儀をする。


『相変わらず、マリアはいい子だねぇ』

『そんな君に朗報だよ』


(今回は、シールドでも頂けるのでしょうか)


少しばかり嫌味っぽく言ってみた。

ちなみに、少し前にもお告げを頂いていて、その時にはサイレントを覚えている。

これも司祭ビショップの魔法だ。


『はっはっは。いやぁ…耳が痛いねぇ』

『まぁ…でも、僕が与える魔法を決めているわけじゃなく、あくまで世界の理によって予め決められているだけだから、その辺は勘弁してほしいなぁ』


(冗談ですわ)


『うん。分かってるよ』

『じゃあ、君に新しい魔法を授けるとしよう』


私は、いつものようにお祈りをするように膝を付いた。

温かい光に包まれ、私は3つ目の魔法を得たのだった。


………………。


朝、目が覚めるとユーリーは既に起きているらしく、ベッドには居なかった。

私は、自分の両手の掌を見つめながら、新しく身に付けた魔法を頭の中で念じる。


「こ…これは!」


とりあえずはやる気持ちを押さえつつ着替えを済ませ、ユーリーの手作り朝食を美味しく頂いたあと、今は彼の実家に向かうために馬車を走らせていた。

走らせているのは、御者のユーリーだけど。


「ねぇ、ユーリー。私やったわ」


「え?何をやったの?」


「魔法よ、魔法」

「とうとう、やったわ」


「どうりで食事中、ずっと若気にやけた顔しているなと思った」


そう言って、ユーリーは爽やかに笑う。


「使いたくて、うずうずしてるんでしょ?」


「そうね。でも、今日は我慢するわ」

「明日、見せてあげるね」


「うん。楽しみにしているよ」


こうして、お話をしているうちにユーリーの実家へと到着した。

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