第39話 今日は日替わり弁当よ

私たちは、無事に壺を依頼人に届けたあと、ギルドで壺の購入費用も含めた報酬を受け取った。

そして、アリシアさんに今回の一件について報告を行った。


「二人とも怪我も無くて、本当に良かったわ」

「山賊の件については、ジェンヌ騎士団に捜索及び警備を強化してもらうように依頼しておきますね」


「宜しくお願い致します」


「それにしても変ね…あの一帯はジェンヌ騎士団の直轄領だから、山賊なんて寄り付かないはずなのだけれど」


「そうなのですか?」


「ええ。少なくとも私は一度も見たことも聞いたことも無いわ」


アリシアさんはジェンヌの街の出身で、子供の頃から何度もナプリを行き来しているそうなのだけど、今回の事例は初めてだという。


「ともかく、マリアちゃんたちは安全が確認されるまでナプリには行かないこと」

「または用心棒の冒険者を雇うこと」


「はい、分かりました」


私たちは、アリシアさんにそう約束をしてギルドをあとにした。

そして、今は城へ戻る最中である。


「それにしても、馬車と壺が無事で良かったわ」


馬のアルマーズは、パパ達が冒険者だった頃に共に冒険をしたイプシロンの子で、私にとって大切な家族であった。

壺は、依頼品なので、達成出来なければ違約金を払わないといけないところであった。


「本当に助かったよね。おかげで壺の購入代金10万エルが手元に残ったし」


「そうね、すごく古びた壺だったから、盗賊もそれなりの品だとは思われずに済んだのが幸いだったわね」

「それはそうと、これからどうしようかしら」


「マリアは、もう心の中では決まってるんだよね?」


「うん。まぁ…これからは危険な依頼も受けようかと思ってる」

「盗賊たちをぎゃふんと言わせるためには、もっと強くならないと」


「だと思ってた」


ユーリーは、知ってたと言わんばかりにニコニコとしている。


「まぁ、でも一応、僕の父さんと母さんにも相談してからにしよう」


「そうね。明日にでも相談に行きましょう」


こうして、私たちは城に戻ったのだった。

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