第34話 うん、まぁ、そんな気はしてた

「マリア、朝食が出来たから、そろそろ起きて……あ、ちょうど起きたんだね」


「ユーリー…おはよう」

「私…新しいに目覚めたわ…」


ベッドの上で、私は自分の両手の掌を見つめながら言う。


「?…その割に、あまり嬉しそうじゃないけど…」


「…それは、後にしましょう」


そう、今は何よりも朝食だ。

お腹ペコペコで、お腹が背中に引っ付きそうな勢いなのだから。

パジャマから普段着に着替えるとユーリーと共に居間へと向かい、一緒に朝食をとった。

そして、今は中庭に出るため城の中を移動中。


「そう言えば、昨日持って帰って来た『掃除四郎君』はどうしてるの?」


「彼には今、2階の東棟の一角を掃除してもらっているよ」


現在、私たちの居住は2階の南棟のみで、他は全く使用されていない。

既存の掃除機『掃除四郎君アルファ版』の能力では南棟ここを掃除するだけで精一杯で他は全く手つかずの状態でホコリまみれになっていた。

パパが居た頃は定期的に掃除してくれていたのだけれど、私たちでは流石にパパ並みに掃除など出来はしない。

そこで、今回持って帰って来た掃除四郎君正式版1.0の出番であった。

掃除四郎君シリーズは自ら動いて掃除をし、動力源が切れそうになると太陽光の当たるところまで自ら移動し、太陽からエネルギーを吸収してまた動作するのだ。

あの姿のどこからエネルギーを吸収しているのかは全くの謎であり、企業秘密というやつなのだろう。

そうこうしているうちに、中庭に到着した。


「ここだと、魔法使うのに危なくないかな?」


そう、私たちは今、中庭の一角である家庭菜園に居るのだ。

そして、目の前には少し萎びれたサツマイモの苗。


「…まぁ…見ていて…」


私は、その苗にギリギリ手が触れないところで、包み込むように両手をかざした。


「こ…これはっ!」


その力に驚くユーリー。

驚くのも無理はない。

私が身に付けた魔法…それはヒール・・・だったのだ。

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