第33話 時は来た

その日の夜は流石に疲れていたのか、ベッドに入ると程なく眠りについた。


(あれ?私寝たはずなのに、どうして起きているのかしら)


周囲は真っ暗で、何も見ることは出来ない。

いつもなら怖くて布団をかぶってしまうところだけれど、何故だか恐怖は感じなかった。


(ここはどこ?ユーリー、どこへ行ったの?)


周りを見渡すが、そもそも何も見えない。

だというのに、やはり不安な気持ちには全くならなかった。


『やぁ。こんにちはマリア』


目の前にいるかのように、何者かの声が聞こえて来た。


(貴方は誰?)


『うーん…そうだね。君たちはだと敬っている存在だね』

『そういうわけだから、神と名乗っておくよ』


えらくフランクな神様だった。


(ここに降臨されたって事は、私に魔法を授けていただけるのでしょうか)


私は、ユーリーの言葉を思い出して言う。


『はっはっは。僕に敬語は不要さ、マリア』

『まぁ、そうだね。君にそれを授けに来たのさ』


ユーリーの言うとおりではあったけれど、正直、自分はもっと遅くなると思っていた。


(でも、やったわ。これで私も正式な魔術師になれるわけね)


私は、お祈りをするように左ひざを床に(多分)付けると、両手の指を互いに交差させて組み、そして目を閉じた。


(神様、宜しくお願い致します)


『あ…うん…。本当に敬語とかいらないんだけど…まあ、いいや』

『じゃあ、行くよ』


神様からそう言われてから間もなく、目を閉じていても分かるくらいの光が私を包み込んだ。

温かい光に包まれた私は、頭の中で何かが生まれたような気持ちになった。

そして、私は目を覚ました。


「………えっと………」


確かに、私は新たな力を得たのだけれど…。

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