第32話 はじめての依頼達成
私たちは、達成した依頼の受領書を添付した報告書をギルドの窓口に持っていき、アリシアさんに手渡した。
受け取った時の彼女は非常に笑顔であったが、いざ書類の審査に入るとその表情は真剣な顔へと変貌を遂げる。
まずは、彼女の持つ鑑定スキルによる書類の真偽の有無の確認。
そして次に、書いている内容の審査へと移る。
別に嘘なんて書いていないけれど、ごくりと固唾を呑んで私たちは見守った。
「はい、依頼者さんの書類で間違いありませんし、報告内容も問題ありませんね」
アリシアさんは笑顔でそう答えた。
「疑っているようで御免なさいね」
「一応、これも仕事ですので」
続けて、彼女は眉をハの字にして申し訳なさそうに言う。
「いえ、当然のことだと思います」
「私がそう言う事をしないという保証はありませんので」
「そう言って頂けると助かります」
「それでは、もうしばらくお待ち下さい」
アリシアさんが再び笑顔でそう言うと、奥の部屋へと消えてゆく。
そして、程なく布袋をお盆に載せて戻って来た。
「はい、これが今回の報酬です」
「一応、中身の確認をお願いしますね」
言われたとおり私たちはその場で袋を開け、お盆の上にお金を出した。
二人で手分けしてお金を数え、それが間違いない事を確認したのだった。
「はい、間違いありません」
「それでは、こちらの受領書にサインをお願いしますね」
手渡された受領書にサインを入れると、両手に持ってアリシアさんに手渡した。
「はい、これで全て完了いたしました」
「また、宜しくお願いしますね」
最後にそう言うと、アリシアさんは満面の笑みを浮かべたのだった。
そのあとは、彼女とちょっとばかり世間話をしてからボッタクル商店でお買物を済ませ、再びユーリーの村へ立ち寄る。
そして、買い物をした品物に代わって既に蔵から出してくれていた掃除機を馬車へと積み込んだ。
その後、おば様特製の焼きたてのクッキーと紅茶を頂いてからユーリーの家をあとにして、城へと到着した時には既に日は暮れて暗くなっていた。
それを見越していたのか、帰る間際におば様から特製お弁当を手渡されていたので食事の用意は必要なく、二人で今日の出来事を話しながら美味しく頂いたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます