第28話 依頼品は多めに

昼からは、昨日に採取したラバンドラとサルビアの仕分け作業を行った。

状態の良いもの、あまり良くないもの、そしてどちらか判断が付きにくいもの、の三種類に分けてながら。


「ふう、こんな物かしら」


そう言いながら、タオルで汗を拭う。

5月も中旬ともなると、お昼には気温もそこそこ上昇するので座っての作業でも普通に汗が出てきてしまう。


「そうだね。そんなものかな」

「えっと…状態のあまり良く無さそうな物がラバンドラが15本…サルビアが8本だね」


「判断に迷った方は…ラバンドラ24本、サルビア17本だから…そのうちの5本と12本を私たちが使う方に持って来て……残りを依頼者の方に…っと、これで良いかしら」


ユーリーは、仕分けの終わった状態をながめて一度だけ首を縦に振った。


「うん。それでいいよ」

「………と、言いたいところだけど」


「?どうしたの?」


私は首をかしげる。

そんな中、ユーリーは私たちが使う分の中から4本を手にしてこう言った。


「余分に2本ずつ、依頼者の方に入れるんだよ」

「ちょうどの本数より、断然良いからね」


「そういうものなの?」


「特に決まりがあるわけじゃないけど、その方が依頼主も喜ぶでしょ?」


「なるほど…確かにそうね」


こうして最終的に私たちの手元に残ったのは、それぞれ18本となった。


「それじゃあ、明日届けに街に行きましょ」


「そうだね。あ…でも、僕の村にも寄っても良いかな?」


「え?良いけど、何かあるの?」


「うん。古くなった掃除機が蔵にあると思うから、それを取りに行きたくて」


この広い城では既に掃除機が3台稼働しているけれど、多いに越したことはない。

それに、おじ様とおば様に一度ご挨拶に伺わねば、と思っていたので断る理由は無かった。

そういうわけで、ユーリーの村にも寄ることにしたのだった。

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