第26話 お母さんみたいなのが好みなのかしら

テレビに映し出された人物は、私の良く知っている人にそっくりだった。


「えっ!?あれって、ユーリーのお母さんにそっくりじゃない?」


「そっくりも何も、若い頃のお母さんだね」


ユーリーに驚いた様子は全くない。


「昔に一応女優をしてたって、事あるごとにお父さんが誇らしげに言っていたからね」


「へぇ…そうなのね」

「まぁ、ユーリーのお母さん、色々凄いものね」


何が凄いのかは言わないけれど。

私は、自分の慎ましい体を一瞥しながら、そう思った。

そんな話をしている間に、ユーリーのお母さんはストーリーから去ってしまった。

もう、このドラマに戻ることはないだろう。


「このドラマを最後に、お母さんは引退したんだ」


「そうなの?」


「うん」

「お母さんは、あまり売れて無かったらしくて」

「だから、その話が出るたびに恥ずかしがっているんだけど、お父さんは大のファンだったから空気読まなくて」


「ふふっ、余程大好きだったのね」


「みたいだねぇ」


そして、手が止まっていた食事を再開して食べ終わった後、ユーリーは洗い物をしに再びキッチンへと去って行く。

私も行くと行ったけど、やっぱり止められた。

とりあえず、ユーリーの言うとおり今日はおとなしくしておくことにする。

その後、私たちはお風呂にそれぞれ入って、寝室で一緒におやすみしたのだった。


(はっ!?そういえば、これって!?)

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