第24話 お花の勉強しないと

「はぁ…生き返ったかのような心地良さだわ」


ようやく一息付くことが出来た私は、水袋の蓋を閉め鞄に仕舞ったあと両手を後ろに付けて、体を少し反らしながら空を見上げ両足をぱたぱたとさせた。


「はは…まだ登って来ただけなんだけどね」


「そうなのよね。まだ、何もしていないのよね」


そう、目的は丘に登ることではなく、ラバンドラとサルビアを採取することなのだ。


「ところで、どれがラバンドラとサルビアなのかしら」


「ここから見えている範囲にはないね」

「えっと…もうちょっと奥まで行ったところにたくさん群生しているよ」


ユーリーは、その方角を右手で指差しながら言う。

その後、お喋りをしながら10分程休憩してから、その方角へと一緒に並んで歩き出した。

その場所は、そこまで離れた場所ではなかった。。


「ほら、見えて来たよ」


そこは昔ユーリーと一緒に遊んだ思い出の場所で、昔のまま様々なお花が一面に広がっていた。

とはいえ、知識のない私にはどれがどの花なのかさっぱり分からない。


「えっと、つくしの先みたいに先端に紫色の小さい花が群生しているのがラバンドラ」

「それより細長く広範に赤紫色の小さい花が群生しているのがサルビアだよ」


「じゃあ、この白い花は?」


「それは…ただの野草だね…」


「ま…まぁ…とりあえず採取していきましょう」

「確か、両方とも100本だったわよね」


「そうだね。でも余分に120本ずつ採っていこう」


「どうして?」


「出来るだけ状態の良さそうな物100本を依頼主に渡して、残りは僕たちが冒険で使う分だよ」


「あ、そうか。葉は気付けと毒消しになるものね」


「うん。自前で用意すればお店で買う必要もなくなるから、節約にもなるし」


こうして、二人で黙々と摘んでいき、城に戻った頃には日が完全に暮れていた。

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