第23話 もうだめ

依頼を受けてホーム画面に戻ると、一番左上に赤い文字で【受注依頼受付有】と表示されていた。


「一つでも受けると表示されるよ」


ユーリーはそう言った。

受けたはいいが、うっかり忘れてしまう事もあるため、表示されるのだという。


「ついでに、受けた依頼のうち一つでも残り3日になると点滅するらしいよ」

「僕はまだ見たことないけれど」


「そうなのね。でも、助かるわ」


そう言いながら、パソコンを終了して電源を落とすと、早速取りに行くために自分の部屋へと移動し着替えを始める。

裏の丘の上までは、片道で1時間も掛からない。

今から出発して作業をして戻って来るまでの時間を考えても、夕方までには戻ってくることが出来るだろう。

そんなことを考えながら着替えを終えて部屋を出ると、既に着替え終わっていたユーリーが待ってくれていた。


「うん。やっぱりよく似合っているね」


ユーリーはそう言って、屈託のない笑顔を向けて来た。


「新品もいいけれど、ユーリーの着用してる革鎧みたいに冒険してるって感じに早くなりたいわ」


「あぁ、これは父さんのお下がりだから、ここまでになるには結構時間がかかると思うよ」


「そうなのね…まぁ、とりあえず行きましょう」


「うん」


こうして、城の裏出口から丘の上に繋がっている道を歩き出す。

道と言っても、街へと続いている道のように整備されているわけもなく、ただのけもの道なのだけれど。

そういうわけで、ささっと進むことが出来ず、丘の上に登りきる頃には結構疲れがピークとなっていた。


「丘の上に行くのって、こんなにしんどかったかしら」


「それは、装備のせいだよ」


ユーリーも、少し息を切らせながら言う。


「あ、そうか」


チェインメイルの重さもあるが、そもそもローブ自体もそれなりの重さがあるし、鞄は背負っているし、履いているブーツもそれなりの重量があるものだ。


「とりあえず、ここで一旦休憩しましょ」


こうして私たちは、昔二人でよく遊んだ大岩に座った。

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