第22話 その人、女の人じゃないわよね?

次の日。

朝食を終えた私たちは今、パソコンの前にいる。

昨日、途中で投げ出した依頼の一覧を最初から見直しているのだ。

見落としている依頼もあったかもしれないし。

事前にユーリーによってラバンドラとサルビアを検索キーに、依頼を抽出してくれているのは言うまでもない。


「昨日より増えてる感じかしら」


「そうだね。ラバンドラの葉は気付薬、花は香水の原料、サルビアの葉は毒消薬になるし、花は肉の臭みを抜いたり保存する時に使用すると長持ちするから需要があるんだ」


「なるほど、日常で使われるってところが大きいのね」


「うん。僕も最初どうして依頼が多いのだろうと、気になって調べて分かったんだけどね」


そう言って、ユーリーは照れ笑いをした。


「後は、納期までの日程と、報酬額でどれを受注するか決めたらいいと思う」

「とは言っても、条件の良いものは直ぐに他の人に取られちゃうけどね」


ユーリーの言うとおり、条件のいいものは全て受注済になっていた。

つまり、残っているものから受ける他ないのだけど、迷っているうちに次々と受注済は増えていった。


「うーん。もうあまりいいのは残ってないわね」


「そうだね。その中からだと…これにしようよ」


ユーリーがそう言って指を差したのは、一番報酬額の少ないものだった。


「ユーリー、これ一番報酬額が少ないわよ」


「そうだね。でも、納期が1週間後になっているから余裕をもって出来るよ」

「それに…」


「それに?どうしたの?」


「この依頼人の人は、足が悪くて自分で採りに行けないんだ」


なるほど、ユーリーらしい選択の仕方だ。

そんな情報を知っているということは、彼は何度かこの人の依頼を受けたことがあるのだろう。


「そうね。じゃあ、これにしましょう」


こうして私たちは、その依頼を受けたのだった。

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