第21話 食糧難が来ても、これで大丈夫

そういうわけで私たちは今、城の中庭にいる。

中庭の一角には家庭菜園用の畑が作られていて、この一角を最初に作ったのはかつてパパとママと一緒にこの城に住んでいたユーリーのパパである。


「この一角にサツマイモの苗を植えて、そこの一角にネギを植えましょう」


ユーリーのパパが結婚を機にこの城を去って近隣の村に移り住んだ後は、パパとママが引き継いで栽培していて私も一緒に手伝っていたので特に戸惑うような事は無い。


「ユーリー、知ってた?ユーリーのお父さんも、この畑に最初に植えたのはサツマイモとネギだったのよ」


「そうらしいね。何でも比較的作りやすいからって言っていたよ」


「そうね。特にサツマイモは肥沃な土地じゃなくても作れるし、食べても美味しいし言うことないわよね」


「うん。収穫が楽しみだよ」


「あはは。まだ5か月も先の話よ」


「そうだけど、楽しみ」


こうして、サツマイモとネギを畑に植えていった。

といっても、殆どサツマイモ畑と言っていいほど、サツマイモの苗だらけなのだけど。


畑仕事を終えると、納屋の一角ある男女別々の2つの小部屋…これはパパが増築したものらしいけど、そこでいつもの服に着替えて居間に戻った頃には、既にお昼を少し過ぎていた。


「それじゃあ、お昼ご飯作って来るね」


ユーリーはそう言って、キッチンに向かおうとした。


「待って、私も一緒に作るわ」


「うん。じゃあ、一緒に行こう」


こうして、二人で話をしながら食事を作り、お昼を食べたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る