第20話 ぼっち朝ちゅん

朝。

目が覚めると、そこは自分の部屋だった。


「そういえば、昨日から別々の部屋で寝ることにしたのよね…」


ユーリーと城で一緒に住むようになってからパパとママの部屋で一緒に寝ていたのだけれど、昨日はそれぞれ別の部屋で寝ることにして私は自室で寝たのだった。

昨日の事で少し悶々としながらも着替え終わった私は、居間へと足を向ける。

到着すると既にテーブルの上には朝食が置かれて、ほんのり湯気も上がっている。


「あ、マリア。おはよう」

「ちょうど起こしに行こうと思っていたところだったんだ」


いつもの笑顔と共にユーリーはそう言った。

あれ?昨日のこと気にしてるのは私だけだったの?

まずい、ここは年上としての威厳を見せねば。


「おはよう、ユーリー」

「今日の朝食も、とても美味しそうだわ」


両目を閉じ、右手の甲で髪を優雅にかき上げながら、私はそう言った。

どう?この大人びた振る舞いは。

そう思いながら左目を少し開け、ユーリーをちらりと見た。


「うん。昨日、帰りの途中に寄った村で買ったばかりの食材だからね」

「新鮮で美味しいと思うから、温かいうちに食べようよ」


飲み物のコーヒーをテーブルの上に置きながら、ユーリーは先ほどと変わらない笑顔をした。


「…そうね」


ユーリーには全く効果がなかったようだったので、私は乾いた笑いをしながらそう言って席に座った。

二人でいただきますをした後、食べ始めてから程なくユーリーは口を開いた。


「昨日、街の雑貨屋さんで購入した苗、この後植えたいんだけどいいかな?」


そういえば、すっかりと忘れていた。


「そうね。早く土に植えてあげた方がいいと思うし、午前中にやってしまいましょう」


こうして、午前は苗を植えることにしたのだった。

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