第15話 物理攻撃力はどれも同じ

そして、次に向かったのは杖コーナー。


「今は何も魔法は使えないし100エルの杖で良いんじゃないかしら」


「そうだね。今は安い杖を使って、お金を貯めてからもっと良い杖を買うのも良いかも」

「でも多くの人は1週間程度で最初の魔法を覚えるはずだから、それを見込んでちょっと良い杖を買ってもいいと思うよ」


「結構、早く覚えられるのね」

「それは、どういう風に覚えるの?」


「えっと…僕のスキルの場合は、夢の中で神様から賜ったみたいな、上手く説明出来ないんだけど」


「へぇ、それは楽しみね」

「そんなに早く覚えられるのなら、ちょっと奮発しても良いかも」


そう思って何点か見てみたものの、そもそも100エルの杖と1000エルの杖に何の差があるのか分からなかった。

確かに1000エルの方が良質な木を使っているように見えなくもないけれど。


「えっと、100エルの杖は本当にただの木の杖みたいだね」

「この1000エルの方は、ほんの少しだけど魔法の威力を上げる効果があるみたいだよ」


「ユーリー、そんなことが分かるの?」


「一応、レベル1の鑑定能力を持っているからね」


そう言って照れ笑いする。


「まぁ、杖に付けられている商品タグにも…ほら、ここにも書いているんだけどね」


「あ、本当だ」


「もし、それなりの杖という事なら…魔法の威力上昇と滑り止め処理が施されている…これなんてどうかな」


そう言って渡してきたのは、杖の一番上に紫の宝石が装飾されたものだった。

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