第14話 私は気付いてなかった

試着室に入って着込んでいた薄めのセーターを脱ごうと思ったのだけれど、そのまま着れそうなのでチェインメイルに袖を通した。


「うん、思ったより重くは感じないわね」


正面を向いたり、横を向いたり、腰を曲げてみたり、手を上げたり色々ポーズを取りながら感触を確認する。


「問題なさそうね」


そして正面を向き直した時に、最後に見たのは胸の部分。

チェインメイルを着用したことで、更に慎ましさが増していた。


「マリア、どんな感じ?」


ユーリーの声が試着室の外から聞こえる。


「うん、全然問題なさそうよ」


そう言いながら、カーテンを開けた。


「どう思う?」


「うん。動きやすそうだし、良いんじゃないかな」


「そうよね。動きも悪くなさそうだし、これにするわ」

「あ、そうだ。ついでにローブも着てみなきゃ」


そう言って、ローブを羽織りボタンをはめた。


「どうかな?」


くるりと回りながら言う。


「…」


「ユーリー?どうしたの?」


「えっ!?あ、ごめん」

「凄く似合ってるよ。本当に魔術師ウィザードみたいだよ」


「あははは、魔術師ウィザードなんだから当たり前じゃない」


「じゃあ、脱ぐからちょっと待ってて」


そう言って、再びカーテンを閉めると、ローブとチェインメイルを脱いだ。

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