第11話 いつから肉食系に

今、私たちは魔王城から一番近いジェンヌの街に来ている。

一番近いと言っても、街との距離は30km離れていて、馬車でも2時間ちょっと掛かる。

朝の10時前に出発して、着いたのは丁度お昼。


「お尻が痛い…」


お尻をさすりたいけれど、街中でそれするには勇気がいるので出来ずにいた。


「そうだね…クッションを買って帰った方がいいかも」


「そうね。でも、まずはお昼の食事にしましょ」


私はそう言うと、目的のレストランを指差した。

レストランの駐馬場に馬車を置いた私達は、レストランの扉を開いて中に入る。

お店の中はとても広く200人は優に入れる広さがあり、ジェンヌ聖王国随一は伊達では無かった。

席に座ると、分厚く豪勢なメニュー表を開ける。


「ねぇ、ユーリーは何にするの?」


「僕は【特盛ミノタウロス肉のビーフシチュー】にしようかな」


あれ?前はそんなにお肉食べなかったような気もするけど。

剣士職だから体力を付けたいのかしら。


「私は【チーズ盛り増しシーフードグラタン】にするわ」


「マリア、好きだもんね」


「まぁね」

「それじゃあ、店員さん呼ぶわね」


ちりんちりんと呼び鈴を鳴らすと、直ぐに長い耳をぴょこぴょこさせた月兎ルビット族のウェイトレスさんがやって来て、テキパキと注文を取ると厨房へと入っていった。

それから30分ほど経って、今度は下半身が四足の馬耳ロー族のウェイトレスさんが私達の頼んだ食事を持って現れ、テーブルの上に音を立てずに置いていく。

お腹が空いていたこともあり、匂いを嗅いだだけで口の中は例のものであふれかえっていた。


「うわぁ、美味しそう」

「それじゃあ、頂きましょう」


「いただきます」


私達は、談笑しつつ美味しく頂いたのだった。

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