第9話 あ、司祭は結構です

アリシアさんは適性が無いと言われた後、こう続けられた。


「信仰心が高いマリア様であれば、職業は司祭ビショップを選ばれて女神官プリーステスを名乗るのはいかがでしょう」


ですよねぇ。

私とユーリーは共に目を細めて乾いた笑いをした。


ちなみに、さっきアリシアさんが言われた『司祭ビショップ』は実際のギルド認定の職業名で『女神官プリーステス』というのは自分が好き勝手に名乗る職業名だ。


アリシアさんは、更に続けて言う。


「初期の状態でこれだけ信仰心が高ければ、将来は世界屈指の女司祭ハイ=プリーステスを名乗っての活躍が期待出来ます」

「いかがでしょうか?」


そう提案されたところで、ユーリーが手を上げて口を開いた。


「少し宜しいでしょうか?」


「はい、勿論でございます。ユーリー・R・ウーサー様」

「そのために私共が居るのですから」


「では、一つだけ…」

「どの職業を選択したとしても、最終的にはその人の能力や性格に合ったスキルが身に付く。ということで間違いないでしょうか」


「仰られるとおりでございます」

「ただ、適正職を選ばれた場合と比べると、どうしても身に付くまでに時間は掛かってしまいます」

「例えば、本来1年程度で身に付くものが4年や5年、それ以上掛かる事があります」

「そのため、適正職以外はお勧めはしていないのでございます」


私たちは顔を合わせる。

とは言っても、もう、心の中は決まっていた。

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