第8話 結構ある人

『しばらく お待ちください』という画面が現れてから十数秒ほど経った後、ビデオ通話画面へと切り替わった。

ビデオ通話画面に現れたのはギルドの受付担当の綺麗な女性で、私が見知っていた人でもあった。


「こんにちは、マリア・E・オーディンスヴェトゥワさん」

「このたびは、冒険者登録いただき誠にありがとうございました」


いつもとは違う堅苦しい話し方で彼女は言った。


「さて、早速で申し訳ございませんが、ご希望職種の魔術師についてなのですが」

「お間違いないでしょうか」


「はい、間違いありません」


私は、どや顔の如き笑顔を浮かべながら答える。


「えっと…誠に申し上げにくいのですが…」


彼女は少し目を逸らし、言いにくそうに口をつぐませた。


「お気になさらず仰って下さい。アーデルハイド様」


いつもであれば愛称の【アリシアさん】と呼ぶのだけれど、アリシアさんが私の名前をフルネームで言われたのだから、こちらもそれに応える必要があるだろう。


「承知いたしました」

「では、単刀直入に申し上げまして、貴方は魔術師としての適性は無いと思われます」

「別の職業を選ばれることをお勧めいたします」


はっきりと適正が無いと言われてしまった。

まぁ、知っていたのだけれど。


ふと、横に付いているユーリーに目をやると、彼は目を細めて乾いた笑顔を浮かべていた。

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