第7話 魔王になりたいの

「ま…まぁ、能力はまぁまぁのようね」


私は自身の胸のように慎ましい虚勢を張りながら冒険者カードをユーリーに返すと、彼はは褒められたのが嬉しかったのか、にこやかに照れ笑いを浮かべながらそれを両手で受け取った。

何よ、可愛いじゃない。


「そ…そんな事より、登録よ、登録」


気を取り直してノートパソコンの前に座った私は、ユーリーの言われるままギルドのサイトを開いた。


「ここの冒険者登録のところを押したらいいのかしら」


「そう、それだよ」


画面が切り替わると、カードリーダーにワイナンバーカードを乗せ遺伝子認証を行って下さい、と画面に表示される。

指示のとおりに、カードを乗せ遺伝子認証を行うと自動で画面が切り替わり、対話形式の画面へと移った。


「貴方の希望職種は次のうちどれですか…えっ…と…」

「…ユーリー…どうしよう…」


「どうしたの?マリア」


「無いわっ!魔王の選択肢が無いのっ!」


ユーリーは目を線のように閉じ乾いた笑いを浮かべる。


「とりあえず…魔術師にしたらどうかな」


「そ、そうね」


ユーリーの言うまま魔術師を選び【次へ】のボタンを押す。


「どうして、その職業を選んだのですか、ですって」


私は【魔王になりたいから】と入力しかけたところで、ユーリーから待ったが掛かった。


「だ、駄目だよ。そんなこと書いたら最悪討伐隊がやって来るよ」


それは困る。


「とりあえず【魔法を極めたいから】にしたらどうかな」


「そうね。じゃあそうしましょう」


こうして、次々と質問に答えて行き無事終了。

と、思ったのだけれど…。

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