第6話 鼻血が出た

とりあえず、魔王になるためには能力を上げる必要があるだろう。

となれば、冒険者になってクエストをこなしていくのが手っ取り早い。


「そういうわけで、ユーリー。街のギルドに冒険者登録をしに行くわよ」


私は、街の方に向いて腕いっぱいに指差す。


「マリア。街に行かなくてもネットで登録出来るよ?」


「えっ?そうなの?」

「でも、どうして貴方が知っているのよ」


「え?だって僕、冒険者だから」


そう言って、ユーリーは照れながら冒険者カードを私に見せてきた。

冒険者カードというのは、ワイナンバーカードとは別に発行される冒険者であるという証だ。


「えっと、なになに…」

「ユーリー・R・ウーサー、13歳、男、半月兎ハーフ・ルビット族…」


「えっ!?貴方、ハーフだったの?」


「そうだね。母さんも半月兎ハーフ・ルビット族だけど、外見は人と変わらないし」

月兎ルビット族としての血が薄くなっているのかも」


ユーリーの話を聞きながら、私は彼の月兎ルビット族として兎耳を付けた姿を想像してしまう。

そして、鼻から赤い物が流れそうになるのを堪え、続きを読んだ。


「えっと…聖暦10030年1月7日生まれ、職業剣士…」

「レベルは…3、ステータスは…筋力D、魔力E、信仰心D、技能D、敏捷D、幸運B…」


魔力E…。

魔力Gの私よりユーリーの方が魔王に近かった。

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