第5話 私の能力低すぎ

ユーリーと一緒に住むようになって一週間が経った。

しかし、私はと言えば未だに魔王になる方法が分からずにいた。


「一体、どうすれば魔王になれるのかしら」


この時の私は周囲の警戒を怠っていて、眼の前にユーリーが居たことに全く気付いていなかった。


「マリアは魔王になりたいの?」


「えぇ、今その方法をネットで調べていて…って!ユーリーっ!」

「何時からそこに居たの?」


彼は、私の真向かいにあるソファにちょこんと行儀良く座っていた。


「えっ?マリアがソファに座り始めた時には既に居たけど…」

「楽しそうに何か考え事していたようだから、邪魔しちゃ悪いと思って声を掛けなかったんだ」


のほほんとした顔をしながら、そう答えた。


「それより、本当に魔王になりたいの?」


ま、まさか。ユーリーは知っているというの?

この国家機密級の情報を。

そう思いながら聞いてみると、


「知らないよ」


だよねぇ…。


「でも、魔王と言うからには魔法を極めないといけないんじゃないかな」


確かにユーリーの言うとおりだ。

何故、今まで気付かなかったのだろうか。

流石は国家機密。


私は立ち上がると、部屋の隅っこに置いているノートパソコンの電源を入れ、自身のワイナンバーカードを取り出しカードリーダーにそれを置いた。

冒険者ではない私だが、自分の能力値等の個人情報はこのカードから何時でも見ることが出来るのだ。


「ええと、私の能力値…レベルは…ゼロ…まぁ、当たり前か」

「他のステータスは…筋力G…魔力G…信仰心C…技能G…敏捷G…幸運A…」

「魔力G…」


魔王への道のりは極めて難しそうだ。

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