第4話 雷なんて怖くない

「うぅ…」


外では雨がざぁざぁと激しく降っていて、時折雷の光と爆音が部屋中に響き渡っていた。


「眠れないぃ…」


私は、枕を胸に抱きながら自分の部屋をあとにする。

そして、ユーリーの部屋の前で葛藤していた。


「ま…まぁ、ユーリーもまだまだお子様だし。怖いだろうから一緒に寝てあげなくもないわ」


そう自分に言い聞かせた後、ドアをこんこんと叩くが返事は無い。

ただの屍と化してはいないだろうと思いつつドアノブに手を掛け回すと、鍵がかかっていなかったようで、ドアはいとも簡単に開いた。

私は、そぉっと中を覗き込む。

しかし、部屋は真っ暗で中の様子は分からなかった。


「は…入るわよ。ユーリー」


と言いつつ、既に部屋の中に入っていてドアも閉めている状態である。

足音を立てないようにベッドに近づいてみると、ユーリーはぐっすりと眠っていた。


「起こすのもユーリーに悪いし、ここは起こさないようにしてあげましょう」


ささやくように言った後、私はベッドの中にゆっくり潜り込んだ。


「ん…ん…だぁれぇ…」

「あれぇ…マリア様ぁ…どうしてここにぃ?…」


どうやら、ユーリーは寝ぼけているようだったので『夢の中だから私が居るのよ』と適当に言い訳をした。


「あぁ…そうなんだ…じゃあ…マリア様…おやすみぃ」


こうして、ユーリーは再び眠りに就いた。

そんな、彼の寝顔を見ているとすっかり怖くなくなっていた。


「おやすみ、ユーリー」


そして次の朝、ユーリーの悲鳴で目が覚めたのだった。

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