死神フローラ
「・・・敵情、人族軍、兵数6万人、銃を持っている者多数、LAMも散見される。
車両3トン半トラックに、高機動車、敵は高度な機動戦をする可能性あり。
我、ダークエルフ戦士団、304名、魔道兵10名、死霊使い3名だ」
「6万対魔王軍、フローラ様を入れて318名・・ですか」
「ええ、そうね。かなわなかったら、逃げて、魔王様に報告・連絡・相談よ」
「じゃあ、皆、私が縫った服を着て前進、ボチボチ行きますか?」
「・・・了解」
「何か、ピクニックに行くようだぜ」
「馬鹿、だから、あの方は、怖いのだ」
私は、森を抜け。
彼らが布陣している野原に出た。
四天王が一人、フローラの軍旗を掲げさせる。
何か、女神様っぽい美人さんが、麦穂を握って、空高く掲げている絵面だ。
「魔王軍に、女神の絵って、皮肉?」
「いえ。これは、フローラ様の絵です」
「はあ、私、こんなに美人ではないわよ。さあ、魔道士さん。お願いします」
「御意!」
・・・・・
☆人族軍
「おい、魔族兵が森から出てきたぞ」
「数、数百!」
「奴ら、馬鹿?こっちは銃があるんだ。しかも、密集している。今までの大人と同じだ。いいカモだぜ!」
「距離は、まだある。LAMってのは当たらないよ」
「任せろ。狙撃に自信のある者は、俺の所に来い」
「いいか。フローラは生け捕り。それ以外は、殺せ!あの旗の前を歩いている奴に違いない」
「おお、車で突撃の準備しておくね。フローラは、人族の女だよね」
前衛に控えていたのは、孤児たちで編成された部隊、彼らは、転移者から銃の供与を受けていた。
王都にたむろっていたが、転移者が保護し、自衛のために、供与し、撃ち方を教えたのだ。
バン!バン!バン!
しかし、いくら撃っても、彼らは倒れない。
孤児たちは焦る。
今までは、銃で戦えば、どんな大人たちだって、倒せたのに
「ミニミをもってこいよ」
「もう、LAM撃っちゃおうよ」
その時、風が吹いてきた。彼らからは、向かい風だ。
「何?この匂い・・・ウグ、グハ!」
「え、トムどうした。傷がないのに、死んでいる。ウグ!」
「車で逃げ・・・」
バタン、バタン・・・
☆人族軍本営
「魔王軍が森から出てきました。数・・・数百です。フローラの軍旗です」
「はあ、マジかよ」
「キイチ様!仇討ちをお願いしますわ」
マリアさんが、ギュウと俺の腕にしがみつく。
俺は鈴木喜一、高校生だった。ミリタリー好きだが、オタクというほどでもない。
「リリーとトムに任せて、王国軍の方は将軍に任せるよ。と言っても、数分で方が付くよ」
「御意」
☆
俺は気がついたら、平原にいた。
オープン画面をみたら、最上位の軍事チート、自衛隊の装備なら、何でも召喚できる。
はばかりながら、最上級の軍事チートだ。
「やったー!」
20式小銃を出し。王都までやってきた。
ストリートチルドレンたちは、お腹をすかせていたので、レーションや薬を配り。
そこで、孤児たちに銃を配り。撃ち方を教えて、自衛をさせた。孤児を誘拐や、物乞いの上前をはねる輩から、身を守るためだ。
ここは、日本ではない。日本の常識や法律、倫理を持ち出したら、誰も助けられないのだ。
善行をしている異世界人がいると評判になったら、
マリアさんが、訪ねて来た。
彼女はルクセル王国のお姫様、今はない。亡国のお姫様だと。その原因は異世界人。
「キイチ様、是非、仇討ちをお願いしますわ」
何でも、聖女を召喚したら、その日のうちに暴走し、王を殺し兵士を殺し、農民までも殺し、国が成り立たなくなって難民となった。
「私は、留学中の身、難を逃れました。残存軍の長になっています。是非、その異世界の力を貸して欲しいのです。彼奴は、今は、魔王軍の将の一人になり。フローラとうそぶいています」
あ、もしかして、召喚した国を一人で滅ぼした?
倫理チートを起こして、かんしゃくを起こして、
城で、自動小銃を乱射したのだろう。
「同じ異世界人として、許せません。僕の軍が先鋒に立ちます」
僕の能力は、盲点もある。
護衛艦や戦闘機まで出せるが、操縦出来ない。せいぜい車まで、
武器は装填式の無反動砲は危ないし、重たい。LAMや、ミニミ、自動小銃ぐらいだ。
しかし、この世界ならこれで十分だろう。
「どこも、相手にしてくれないのです」
「分かった。とりあえずこの国の王に支援をお願いしよう」
☆王城
「ほお、魔族討伐とな?やめておけ。それよりも、レーションを売ったらどうだ。あれは美味だ。しかし、薬を無料で配るのは、頂けない。結果として、回復術士の職を奪い。医術が衰退するでな。それか、異世界の知識で、何か職についたらどうだろう。余は援護するぞ」
バン!
うわ。側近のリリーが威嚇で一発、撃った。
王様は、手で騎士たちを止める。
「・・・殺したら、王命が出るのか?王太子も魔王討伐の命令を出さぬぞ!フローラ殿と敵対する愚王にはなりたくないのでな」
「見たでしょう?これが、銃です。リリーは後で叱っておきます。僕の力を見て下さい。それから、判断して下さい」
「異世界の友人がお帰りだ。さあ、丁重にお見送りをしろ」
話しにならない。完全にフローラにビビっている。
☆女神教会
「魔王討伐・・・貴殿は勇者でしたかな?まあ、年に一度の公会議があります。それまで、お待ちください」
「遅いよ」
☆冒険者ギルド
「登録してF級から、スタートです。それよりも、串焼き屋、殺害の件で、衛兵隊から依頼がきています。殺人孤児、リリーの引き渡しをお願いしたいものですな。
それから、キイチ殿の人となりを見てから、判断します」
それは、串焼き屋の親父は、孤児たちがウロウロしていると商売にならないからって、殴って追い払ったからだ。
暴走もあった。
「それじゃ、遅いよ。僕の力、見たいの?」
やや、脅し口調で言った。
「フローラは、一国を滅ぼした後、この国にも滞在しました。
髪を灰で染め。賃仕事をしながら、生活をし。その時に、作ったものが、とても有益な物であると判明しました。それは・・」
「僕だって、薬を出せるし、とても美味しいレーションを召喚できるよ!」
「話を聞いて下さい。フローラは死そのものです。キイチ殿では瞬殺されるでしょう。いいですか?フローラが、変装していたのは、殺したくなかったからです。なら、対話のチャンスはあります」
「もういい」
どこからも、魔王討伐のスポンサーになってくれない。支援をしてくれない。
しかし、マリアさんの元に、6万人の遺民たちが集まった。
「家財道具までもって、でも、銃を配れば、女でも戦える」
頑張って、数万丁の銃を出した。弾は、マガジンに詰めるところから初めて、トラックも100台以上出して、
マリアさんの国の騎士たちが指揮を執り。数ヶ月かかったが、それなりの軍隊になった。
「まるで、十字軍のようだ」
「まあ、何ですの。それ。でも、国が滅びたのですから、新しい土地でやり直しをしたいのですわ」
「そうだな。転移者が悪い。何も、ここまですることないじゃん。魔族の土地を奪って、そこで新たな国を作ろう」
「ええ、そしたら、キイチ様は・・王になって頂きますわ」
・・・・・
☆現在
「全軍に命令!魔王軍に集中砲火の信号旗をあげろ」
シーーーーーーン
「あれ、銃声が聞こえない。何をやっている」
ここから、魔王軍は米粒ぐらいの大きさにしか見えない。
密集している。
馬鹿だな。銃の標的になるのに、
しかし、味方が、バタバタと倒れていく様子に、異変を感じる。
周りは・・・バタバタ倒れていく!そして、起き上がって、魔王軍の周りに集まって行く。
密集は更に大きくなってきた。
「何故?」
「死んだ味方の兵が、死霊使いの手により。盾として使われています!」
『フローラは死そのものです。キイチ殿では瞬殺されるでしょう』
ギルマスの言葉が脳裏に浮かぶ。
ヒュー、ヒュー
そよ風を感じた。
「これは、魔力で起こされた風ですわ」
「ニンニクの匂い!」
バタン、バタン、バタン。
周りの指揮官たちや兵たちが倒れていく。
「マリアさん。結界!」
「ええ、はい」
「これは、毒ガスだ!」
フローラの正体は、毒ガスだったのか?!
俺は彼女の卑怯さに怒りに震えた。
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