殺戮聖女フローラ~異世界転生した女性自衛官が聖女になる話

山田 勝

異世界転移

私はフローラ、魔王軍の四天王が一人。日本人、女だ。年齢は、ゴホン、伏せる。

今は日系魔族か?


フローラの名前は豊穣を意味する。自らつけた。

日本の時の名前は封印した。何故なら、父母がつけてくれた名を、異世界とはいえ。殺人者として轟かすのは気が引けるからだ。


この世界に来たきっかけは、休日、街を歩いていると、前を歩いている女子中学生ぐらいの子の地面が、青く光り魔方陣が浮かび上がってきた。


ヤバい奴だ。と思って、背中を押したら、代わりに私がこの世界に召喚されてしまったワケなのだ。


召喚された王国の名は覚えていない。

一日で、滅ぼしたからだ。


☆ルクセル王国


強烈な光が収まり。視界がはっきりしてきたら、まるで、中世のお城の一室、床には魔方陣が描かれており。神官と聖女がずらりと並んでいる。

その後ろに騎士たち。さらに後方に、王様と王子様、お姫様ってな感じだ。


「ようこそ、おいで下さいました。異界の聖女様、どうか、我国の苦難をお救い下さい」


おお、王様まで、何か。膝を折って、この世界の礼法でお願いしている。


そのすきに、

(オープン)

こっそり、ステータス画面を見る。おっ、本当に浮び上がった。これは・・・ヤバい奴だ。



「断る。日本に帰してもらおう」



「それは・・・苦難をお救いしてくれたら、元の世界に戻すとお約束できます。何、簡単な作業です。

しかし、ほとんどの聖女様は、この国の待遇に感涙を流し残ると仰ってます。

 ええ、聖女様のお仕事をして頂けたら、貴人との結婚も可能ですよ。

ここは、食べ物に困らない、ル・・・・・グハ、ウグッ」


バタン


説明役の神官を殺した。

だって、奴らの目は、狐の目をしている。人を騙す特有の目だ。

私は、大学院、企業の研究職から、自衛隊に入った奇行者、

社会経験があるから、本気で人を騙す奴を知っている。


異世界転生で、中学生や、高校生が選ばれるのは、まだ、社会慣れしていないからだろう。


「な、聖女様、乱心!」

「まさか、魔女を召喚してしまった?」

「者ども!多少の怪我はかまわない。捕まえろ」


ドタン、ドタン、ドタン


と倒れていく。


そのたびに、スタータス画面に、○○獲得!と文字が浮かび上がる。

後で、確認すればいい。まだ、油断できない。


私はかまわずに、王の前に行く。止める者はいない。


「さあ、今まで、誘拐した日本人の所まで案内してもらおうか?」


「いや、その」


「殺すよ?」


王の話だと、

聖女は、巡幸と呼ばれる過酷な旅をさせられ、2,3年で廃人になり。その後、ピラミットみたいな祭壇の上から、生きたまま階段から転がす。

バラバラになった体のパーツを、息のあるなしにかかわらずに、住民たちが持ち去り・・・

それを、貴人との結婚と称している。

食物連鎖的には、土地の精霊に交わるからだろう。


「はあ、はあ、本当のことを話した。さあ、貴殿は自由だ。去るが良い」

「そう、じゃあ、もう、花嫁は来ないと、貴人に伝えに行け」

「グハ、ウグ」


その後は、うっすらと覚えている。

兵士を殺し。食料と金を袋につめ。城を出た。


農民たちも、殺した。

「おい、黒目族、早く巡幸をしてくれ」

「でないと、農作物が育たない」

「前の奴が早死にして、計画が狂っている。お前、おつきの者はどうした?」


「自分で、畑を耕し、肥料をまけ!それが出来なければ死ね」


バタン、バタン・・・


また、ここでも殺人を犯してしまった。


そして、数々の刺客を退け。他国では、髪を灰で染めて、ごまかして暮らしていたが、うまくいかない。


逃げて、何とか魔族領に落ち着いた。

魔族領では、人族は目立つ。


魔王様からすぐに呼び出しの声が掛かった。

四天王に就任してくれと要請されたが、断った。


「何故だ。ここまで、人族を殺したおぬしは、もう、人族の生活に戻れないぞ。魔族領で何をしたい?」


「はい、服屋をやりたいです」


「何故だ?」


「はい、人は知っていると思うことこそ知らないのです。だから、全く知らない服屋を始めようと思いまして、出来れば、修行の場の提供をお願いします」


「アハハハハ、まあ、良い。紹介しよう。その代わり、最弱の四天王になれ。郷土防衛が仕事だ。服は出来たらもってこい。我が娘、マリーンの服を頼むぞ」


「はい」


やっと、理解者が、出来たと嬉しかったよ。


・・・


「マリーン様、どうぞ。自信作です」


「・・・・えっ」


可愛い。お角が2本、ぴょこんと立っていて、湾曲するのかな。頭の横に付いている。

魔王種と言われる種族だ。


プルプル~


うわ。首を横にふり拒絶された。だけど、可愛い。


「アハハハハ、その服は・・まあ、そうだな。次回作に期待だ」

「そんな。どこかの週刊漫画誌みたいに、言わないで下さいよ」


「何だ。それは?」


私が働いているのは、魔族領のお針子ギルド、そこで、魔族の子供たちと一緒に、お針子稼業を学ぶ。


「ほら、こうして、あら、フローラ様、段々上達していますよ」

「大きいお姉さん。すごいよ」

「えへへへへ、皆様、有難う」


早く、自分の店を持ちたい。

しかし、焦りは禁物

今日はお給金の日、


「あれ、多い。こんなに」

「いや、これは、四天王手当だ」

「え、四天王って、給料制」


うわ。私、大事にされている。


しばらく、平穏な日が続いたら、魔族領に、軍事チート能力者たちが攻めてきたわけだ。


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