決着

 この争いの結末がどうなるか、それは半ば互いに同じ答えを共有していた。


「ぐっ、ふっ……」


 戦う前から。

 行動の前の起こり、その前触れを共にぶつけあう我らはなんとなく、互いの実力差を理解していく。

 既に、僕は己の父の強さを超えていた。


「燃え上がれ、蒼き龍よ」


 戦いが進み、僕が出し惜しみを辞め始めてから、徐々に素の実力差が浮き彫りになり始めていた。


「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!?」


 僕の放つ森を呑み込むほどの蒼き炎の龍に巻き付かれる父上は悲鳴を上げながら、それでも蒼き龍を力技で屈服させる。


「自然よ」


 そんな父上を次に狙うのは一度、蒼き龍が燃やし尽くしたはずの自然。

 僕が母なる大地より再度伸ばした樹海の津波である。


「だぁぁぁぁああああああああああああああ」


 だが、それらに対しても父上は力技で突破。

 木々を切り裂いて道を作り、己の背後にある木を蹴って父上はその道を突き進んでくる。


「止まれっ!」


 だが、急速にこちらへと迫ってきていた父上の身体は、僕の魔法と共に急速にその速度を落とす。


「ぐふっ!?」


 そんな父上の体へと僕は容赦なく蒼き炎を纏った蹴りを叩き込んでいく。


「はっはっは!!!」


 燃えながら、吹き飛ばされる。

 それでも、父上の笑い声は止まらない。


「さぁ!来い!戦いは終わらぬっ!戦闘は、命ある限り尽きないっ!」


 戦意は尽きない。


「わかっているとも」


 ゆえに、僕の身体も止まることはない。

 蹴り飛ばされ、絶望的なまでの隙を晒す父上を前にする僕は腰を僅かに落とすと共に抜刀。


 

 

 ───っ



 

 腰に下げていた刀でもって父上の体を切り裂く。


「あぁ……」


 その身を守る結界はとうに破壊している。

 刀を握る僕の手は確かに、父上の体を切り裂いた感触を僕の手の中に残した。


「良い……素晴らしい、あぁ……実に、満ち足りた争いであった」


 父上の身体が二つに断たれると共に地面へと落ちていく。


「よくぞ、ここまで……流石、俺の子だ」


 そんな父上の表情は実に満ち足りたものだった。


「すぅ」


 そんな父上の傍らで。

 僕は小さく息を吸うのだった。

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