激闘

 互いに剣と剣を持つ僕と父上は互いに武器を重ね合わせ続ける。


「魔法ばかりで剣が使えない餓鬼だと思っていたが、存外使えるではないかっ!」


「リノとの一件から少し鍛えていてね!」


 父上の振るう剣を避けて、受け流して、後ろへと下がり続けて。

 僕は周りを出来るだけ巻き込めるように自由奔放に動きながら父上の攻撃を受け止めていく。


「だがっ!逃げてばかりでは何もならんぞ!」


 僕は自分の元に振り下ろされる父上の剣に己の剣で合わせて受け流す。


「……ッ」


 力をかなり込めて剣を振り下ろしていた父上は僕の剣に合わせてそのままわずかに重心をずらした。

 それを前にし、僕は一歩前に足を踏み込んで膝を持ち上げて父上の腹を狙う。


「随分と手癖の悪い」


 だが、それは同じように膝を上げた父上によって止められる。


「ちっ」


「そう、舌打ちするものでもない!」


 そして、父上はそのまま己の手にあった剣を捨てて両腕で僕の方へと掴みかかってくる。

 未だに剣を未練がましく握っていた僕はそれに反応できなかった。


「らっ!」


 僕の肩を掴んだ父上が行った僕は僕の頭への頭突き。


「ざっけんなっ!?」


 一度は反応できなかった僕も次の段階では対応。

 父上に負けじと僕も剣を手放して父上へと頭突き。

 互いに頭を振って僕と父上は頭をぶつけ合って血を流し合っていく。


「……らぁっ!」


 そんな中で僕は強引に父上と共に地面を転がる。

 父上と共に地面を転がっている僕は途中で己を掴んでいる


「剣から俺を遠ざけたか。やはり、魔法の方が得意か?」


「当然だろう」


「くくく……子の我儘に乗ってやるのは親としての役目か」


「なら何もせずにその場へと突っ立っていたくれ」


 僕の言葉を受けて、魔法を発動させて蒼い炎を纏い出した父上に対して、こちらは更に厚かましい言葉を口にする。


「はっはっは!それは無理だァっ!俺は戦闘狂なのでなぁっ!」


「そうかい!」


 僕はハイテンションでこちらへと飛ばしてきた父上の蒼い炎に自分の魔法を叩きつけるのだった。

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