物資

「まぁ、恋愛云々という話は一旦置いておこうか」


 僕はリノと顔を合わせて言葉を交わす中で話題を切り替えていく。


「問題はここに、どれだけの物資があるかだよ……一応、この砦内には食料を自給するための施設があったよね?」


 話題は物資に関するものだ。


「確かにありますが、そもそもそこまでの広さじゃないですし、収穫時期のこともありますから、そこまで期待できないでしょう」


「……やはりそうか。食糧問題は切実だな」


「そうですね。かなり問題だと思います。私たち二人で獣などを狩るのが一番現実的かと」


「そうなるかぁ……食料は要検討だな」


 僕たちの一団もかなりの食料は持ち歩いていたが、それでも限界はある。

 食糧問題はこの砦恐らく、かなり長い時間籠城することを考えると常について回る問題だろう。


「生理薬の在庫は?」


 そして、食料の次に聞くのは生理薬。

 この世界で開発されている女性の生理を健康的に完全な形で止めてくれる薬である。

 魔法のある世界のおいて、兵士としての力量差には大した差がない。

 かつての大国が女性も兵士として最大限利用するために作ったのが生理薬である。


「うちのところは最低限、各々が問題なく動ける程度にはあるけど……」


「私たちのところはほとんどないですね。というか、私の分ですら危ういです」


 生理薬は基本的に毎日服用してもらうものである。

 そのため、生理薬の数はかなり大切なのだ。


「そうだね……それじゃあ、リノに一旦。すべての生理薬を集めちゃって、他の女子戦力は奥の方で待機してもらおうか。病気になられても困るし」


 ナプキンやタンポンなど生理薬以上にない。

 生理が故に病気になられても困るので、衛生的な環境で大人しくしてもらおう。


「それがよさそうですね。私からそのように伝達しておきます」


「あぁ、お願い」


 僕はリノの言葉に頷き、伝令に向かってくれる彼女を見送る。


「……いけるかなぁ」


 物資も人も足りない。

 そんな中で、耐え続けられるか……一抹な不安を抱き、僕は言葉を漏らすのだった。

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