一息
恐らくは僕の父上から始まったであろう奇襲作戦に端を発して起こった自軍の敗走に砦の死守。
「あぁぁぁぁぁぁぁ、つかれたぁぁぁぁぁ」
「……今回は本当に疲れましたぁ」
一先ずは落ち着くことの出来た僕とリノは共に一息ついていた。
僕たち二人が今いるのは砦の中にある最も豪華な長官室である。
「それにしても助かりました……ルノ様が助けにきてくれなければ、私たちは確実に敗北していたでしょう。間違いなくルノ様のおかげで助かりました。本当にありがとうございます」
そして、そんな中でリノは僕へと深々と頭を下げてくる。
「良いのよ」
それを僕は笑顔で受け流す。
「僕たちは婚約者しでしょう?こういう時こそ助けあいだよ」
「……本当にありがとうございます」
「ふふっ。婚約者を助けることくらい当然のことだよ。助けあいの精神は大切にしていかないとね」
「はい!……ふふふ、それにしても婚約者だから助けてくれた、ですか」
「うん。そうだね」
僕はリノが告げる言葉に頷く。
「……これは、つまりですね?」
「……?」
「もう私にデレてくれたということで良いですか?私のことが好きになっちゃいましたか?ようやく……異常性癖者のルノ様も」
だから、二十歳よりも上が良い僕を異常性癖者扱いしないでくれ。
「いや?」
僕はそんなことを考えながら彼女の言葉を否定する。
「別にまだリノのことは好きになってないかな」
「何でですかっ!」
はっきりと好きじゃないと告げる僕の言葉を聞いたリノは悲しそうな表情でなんでだと吠えるのだった。
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