合流

 陽剣。

 一足先に太陽を見に行こうという言葉は完全に僕の比喩であった。


「はぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」


 だが、それは比喩でも何でもなく、本当に太陽が、陽炎が輝いていた。


「改めて考えるととんでもないな!」


 己が率いる一団が駆けつけてきたリノのいる龍骨山脈の谷間にある砦へとやってきた僕の目に飛び込んできたのは大量に砦を囲んでいる敵兵に囲まれながらもその手にある陽剣を輝かせ、夜をも吹き飛ばす勢いで無双しているリノの姿であった。


「……これ、自分たちの援護が必要だったんですか?」


 そのすさまじさを前にする兵士の一部は自分たちが駆けつけてきたことにすら疑問を思わせるようなものであった。


「そんなことはないさ。あれだけの光は僕だって見たことがない……そんな長くは続かない。ガス切れはあるし、リノとてただの人間。休息も飯も必要。あれだけ大量の敵に囲まれていたら彼女だって限界だ。僕たちの援軍は必要だったよ」


 リノのかなり規格外な強さを前にしてちょっとだけ士気が落ちている自軍の兵士たちへといる意味はあるのだと声を駆けながら僕は魔法の詠唱を開始。

 そして。




「焼き尽くせ───雷霆の驟雨」




 僕は己の魔法で陽剣へと影を落とさせる。


「お、俺たちの将軍も頭おかしいっすね……」


 僕が発動させた魔法は陽剣の炎に陰りを落とすほどの大量の雷を出現させ、大量の敵兵を撒き込んでその生涯を終わらせてみせた。


「これでも僕は一応、魔法分野においてはトップクラスだからね」


 僕は己の使った魔法に若干引いている部下たちへと適当に声を駆けながら、一度大きく息を吸う。


「我らは何ぞや!」

 

 そして、僕は再び自軍に火をつけるために声を張りあげる。


「「「我ら、ラステラの剣!万物を打ち砕く剣なり!」」」


「我ら何ぞやッ!!!」


「「「我ら、ラステラの剣!万物を打ち砕く剣なり!」」」


「よろしいっ!ならば行こう。敵を打ち砕くために」


「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

 僕の言葉を受けて我が軍の兵士は怒号を上げ、その声量だけで地面を揺らして見せる。

 それを受け、既に僕の魔法で混乱に陥っている敵軍が更に浮足立って逃亡を始める腰抜けまで現れ始めている。


「一番槍はもらうぞっ!」


 そんな中で僕はその場を蹴って移動。


「ルノ様ッ!!!私を助けに来てくれたのですねっ!!!!!」


「うん、もちろん」


 そして、僕はリノの元に向かって合流を果たすのだった。

 

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