演説
現状を前に騎士たちは各々自分の考えを明かしながら色々と言葉を話しており、ざわついている。
「諸君!」
そんな中で、僕は自分の声を響かせる。
「夜は好きかね?」
そして、僕が告げるのは今の現状とは関係ないことである。
急に関係のないことを話し始めた僕に対して騎士たちの間に困惑しながら沈黙を破って、ぽつりぽつりと言葉を漏らし。
そのままざわめきが広がり始める。
「明けない夜はない。そんな言葉を聞いたことはあるだろうか?夜を悪いことに例えた言葉であり、意味としては悪いことは続かない続かないということである」
そんなざわめきのことは気にせずに僕は言葉を続けていく。
「だが、この言葉をいつも聞いて僕は思うのだ。いつか、明けるかなど関係ない。ただ、今辛いのだと。日が昇るのを見ていたくない……ただ、暖かな太陽に触れたい。僕は常々そう思う。
たとえ、ざわめきの中でも止めなかった僕の言葉。
「……」
だが、それでも一番最初に告げた夜についての発言について、自分の思うことを伝えた終えた後の僕は口を閉ざして沈黙を守り続ける。
「「「……」」」
次第と。
僕が静かに待っていることに気付いた騎士たちが次々と口を閉じ始め、こちらへと固唾を飲みながら緊張感のある面持ちで視線を送ってくる。
「陽剣がいる。前に、陽剣がいるのだ」
僕の告げた事実に一度訪れた沈黙が再び破られてざわめき始める……彼らは、僕が何を口にしようとしているのか理解し始めたのであろう。
だけど、今度は沈黙を待つ必要はない。
「我らは何ぞやッ!!!」
後はすべて僕が飲み込むだけである。
僕は魂から搾りだすように絶叫を口から漏らす。
「「「我ら、ラステラの剣!万物を打ち砕く剣なり!」」」
「我ら何ぞやッ!!!」
「「「我ら、ラステラの剣!万物を打ち砕く剣なり!」」」
「よろしいッ!ならば行こうッ!!!」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
僕の言葉を受けて、ほぼ反射的に沸き上がっている多くの者たちの声。
「すぅ……それでは諸君。一足先に太陽を見に行こうではないか」
それに頷いた僕は淡々と言葉を絞めるのであった。
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