流れ

 僕の父親が主導した形によって行われたであろう奇襲作戦。

 それによって自軍は総崩れになってしまっている。

 情報が錯綜し、多くの兵士たちが既に退却を始めて再度陣地を築こうと行動を始めている。

 これは、正しいだろう。

 軍の数としてはまだこちらの方が上だろうし、補給もこちらの方が盤石。

 それに増やそうと思えば更にこちらの軍を増やすこともたやすい。

 引くのが正解……それに。


「……父上なら、勝ちきろうとはしないな」


 相手の攻撃の芽を摘むと共に、自軍側に危機感を抱かせる。

 そして、そのまま講和へと持ち込む……砦を変換する代わりにルイス辺境伯領の割譲を要求し、父上はそこの当主にでもなるつもりかもしれない。

 

「いや、一度読み外しているのだからわからないか」


 僕の知る父上の姿なんて大したものはない。

 こんな考察に意味などないだろう。

 

「ここは、一度引くべきか」


「仕方ない、という奴だろう。我らだけ戦っていても仕方ない」


「で、あるよなぁ」


「……くっ。我らラステラ家の騎士が、おめおめと逃げかえるような無様を晒してしまうとは」


「これも仕方ないことよ」


 僕が思考を回している間にも既に自分の部下たちの間には逃げ帰る準備が出来てしまっている。

 退却する流れがある。


「……」

 

 この流れを捻じ曲げて、自分の意思を通すことなんて難しいだろう……ましてや、自分の柄じゃない。

 だが、本当に良いのだろうか。


「……すぅ」


 ここで自分たちが引けばリノたちはどうなるだろうか……たった三日、それだけを耐える準備しかしていない。

 あそこには兵士が絶望的に足りていない。

 戦術級の強者もリノくらいなものだ……足りない、圧倒的に足りない。

 そんな中で、味方が引いて彼女たちが退却できなく


「食料はあるな」


 僕たちの一団はかなりの量の物資と共に行動していた。


『ルノ様っ!』


 自分の脳裏にどこまでもついて回るのは三歳のころから長い付き合いのあるリノの笑顔である。


「はぁー」

 

 僕はため息を吐きながら、頭を回すのであった。



 新作です!お願い!読んでぇぇぇぇ!


『自宅の庭にあるダンジョンで魔物を育てているモブ高校生の僕、クラスの美少女配信者を新種の魔物を引き連れて助けた結果大バズりしてしまう』

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