恋愛対象
僕がリノに対して、恋愛面での可愛さはないとはっきりと断言した後。
「じゃ、じゃあ、どうしたらいいんですか!?」
リノは頬を膨らませて不満げに言葉を垂れていた。
「……あー」
僕はリノの言葉に対して非常に悩ましい声色を漏らす。
一番の問題は、リノの年齢では僕が彼女を異性として見れないというところに起因する。
普通に考えて、未だ中学生にもなっていない人に異性としての視線を向けられるわけがない。それが、三歳のころから知って妹のように思ってきた相手なら猶更。
「僕は年上好きなんだよね」
「わ、私よりもちびのくせに生意気ですよ!というか、年上ってどれだけの人が希望なんですか!?」
「ニ十歳くらい?」
前世と今世の僕の精神年齢を合算させれば三十路くらいになる。
だが、それでも今の肉体に僕の精神も引っ張られているのか、自分の中に子供っぽいところが残っているのを自覚しているし、あまり精神年齢も前世の頃から成長していない気がしている。
なので、今の僕の感覚としては自分が二十歳くらいであり、恋愛対象もそれくらいを望んでいた。
「い、行き遅れじゃないですか!?」
「うっ……」
だが、問題なのはこの世界においてニ十歳は行き遅れであるということだ。
前世の地球とは違い、男だろうが女だろうがニ十歳まで結婚していないとかありえないし、三十にもなって結婚をしていなければ、もう周りから人間として扱われることはないだろう。
「それに、ルノ様の年齢を考えると、明らかに犯罪臭です!」
「うっ……」
問題はそれだけじゃない。
僕の視点だと、自分がリノに手を出すことに犯罪臭を感じてしまうが、傍から見れればニ十歳の女性と僕が恋愛をする方が犯罪臭である。
「ど、どうすればいいのですか……!ルノ様がこんな異常性癖だとは完全に予想外でした」
「うぅ……」
もう言いたい放題だった。
だが、それも全部事実であるがためにうまく反論できない。
「逆に、逆に考えるのです。時間さえあれば確実に落とせると。私は可愛いですし、それまでの間にルノへと近づくやつを消せばいいのです……ニ十歳以上の女はひとまず全員結婚させればいいでしょう。しない奴がいれば殺してしまえ……叔母様、叔母様がいるじゃないですか。年齢的にもちょうどよくて未亡人の叔母様が。ど、どうしましょう。完全に予想外の恋敵です。あまりにも想定外です。ど、どうすれば……お、叔母様をどこに飛ばすか……」
リノはもう完全に僕の方から離れて、一人で何事かをぶつぶつと呟いている。
「と、とりあえず頑張ってね」
そんな彼女に対して僕は苦笑交じりにそう答えるしかなかった。
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