恋愛面
自軍へと降りてきた空挺部隊並びに殿として反転攻勢に出てきた敵軍を叩きのめすのにさほど時間はいらなかった。
それでも、敵軍の大半の撤退を許すだけの時間はかけてしまった。
「あぁぁぁぁ。まだ長引くよぉ」
最前線の方から後方の司令部へと戻ってきた僕はベッドへと寝っ転がりながら情けない声を漏らす。
「うーん、そうだねぇ」
そんな僕へと抱き着き、すりすりとこちらに頭をこすりつけてくるリノも己の言葉に同意する。
「……いつになったらこんな地獄が終わるんだが」
戦争なんて最悪だ。
どれだけ気を使い、どれだけ兵站を大事にしていても、兵士たちは腹を空かす。
「あぁぁぁぁぁ」
さっさと終わってほしいものだが、それでも中々終わらせることが出来ないの辛いところだ。
「ふにゅー」
深々と言葉を漏らす僕に連動して、ずっと全身を使って僕へとすりすりして抱きしめてきているリノも同じように声を漏らす。
「それで?さっきからリノは僕に何をしているの?ずっと体をこすりつけて」
自分の思考回路を戦争なんていうくらいものから切り替え、さっきからずっと体をこすりつけてきているリノへと疑問の声を上げる。
「ドキドキするでしょう?」
「……は?」
僕の言葉に対してリノは自信満々な表情で言葉を返してくる。
「既にルノ様は毎日三食私の作った料理を食べています。これで完全に胃袋は掴みました!それに今じゃ洗濯なども私がやっていますし、この戦場でも私はうまくサポートしています。もうこれは既に私なしでは生きていられない状態にまで追い込んだと言えるでしょう」
確かに、ここ最近の自分の生活はリノに任せきりだった。
だが、それは別にリノがやってくれているからお願いしているのであって、やろうと思えば一人で出来る。
料理に関しても、こう言っては何だけど、リノの料理は美味しいけれども自分で作った方が美味しくなると思う。
「その上でこのすりすりです。これはもう、ルノ様も耐えられないでしょう。私の女としての魅力にメロメロに違いありません。もう私のことを好きになるのもすぐでしょう」
そんなことを告げるリノの顔はこれ以上ないほどのドヤ顔であった。
「いや……確かに可愛くはあるけど、それはどちらかというと小動物的な可愛さだし、妹的な愛情が膨れあがるだけよ?」
「えぇぇぇぇぇ!?」
僕の率直な感想を聞いたリノは驚愕の声を漏らしながら固まってしまうのだった……もしかして、リノってば恋愛面だとポンコツなのか?
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