空戦

 観測者として最前線で自軍と敵軍の様子を伺っていた僕。


「……ん?」


 そんな僕へと多数の敵兵が近づいてきていた。


「随分と大規模な」

 

 敵の数としては中隊規模。

 それだけの人数でありながら、最低のラインでも戦術級に一歩だけ及ばないラインであり、その多くが戦術級である。


「こちら、ルノ。敵多数からの襲撃を確認。援軍は不要。だが、任務からは一時離れる」


『了解しました。こちらも対応しようと思います……ですが、一人で大丈夫ですか?いえ、実力を疑っているわけではないのですが、その、少々心配でして』


「大丈夫だよ、何の問題もない。僕一人で問題なく敵は倒せるよ……いくつか、うち漏らしは出るかもだけど」


『私にはルノ様さえいればいいので他は要らないので、そこら辺はだいじょうぶです。ご武運を』


「うん、ありがとう」


 伝達魔法で軽くリノとの連絡を済ませた僕は自分に近づいてくる敵兵へと視線を送る。


「よっと」


 僕は魔法で剣を作り出し、遠距離からでの戦闘ではなく急加速で彼らへと迫り、肉弾戦を仕掛けてくる。


「……ッ!て、展開!」


 それに面食らった部隊は一度、混乱が広がって統率が乱れるも隊長と思われる女性の言葉で全員がバラバラに散り始める。


「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 そして、そんな中でも二人の男が僕の方へと迫ってくる。

 彼らは互いに一本ずつ剣を持っている。


「てぇ!」


「……っ」


 そんな男たちと僕がぶつかるよりも前に周りの兵士たちが魔法を発動。

 僕の身体を拘束する魔法が大量にぶつけられる。


「もらった!」


「残念、ブラフ」


 だが、魔法にかかったふりをしていたのはただのブラフである。

 別に僕は魔法になんてかかっているわけじゃない。


「……ぁ」


 完全に油断しきった態度で僕へ斬りかかってきた男の首をまずは一つ、剣で斬り落とす。


「くっ……!」


 共に迫ってきていたもう片方の方は一瞬で一人目を斬り捨てた僕に対して頬を引きつらせながらも果敢に斬りかかってくる。


「っとと」


 流石に相手もただただ雑魚いわけではない。

 相手の攻撃を受けた僕は簡単にその攻撃を跳ね返せない。


「退けっ!」


「ハッ!」


 そんなことをやっている間にも僕を囲んでいる敵から大量の魔法をぶつけられる。

 だが、それらは僕の身を守っている結界が完全に防いで見せる。


「……これは、流石に時間かかるかもなぁ」


 あまりにも多い敵の精鋭たち。

 ここにいる面々だけで国を一つは落とせそうな面々に苦笑しながら僕は彼に対抗するように魔法の展開を始めるのだった。

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