第19話 無理難題とクソババア
「防御魔法、攻撃魔法を使い、このベンティーを倒してもらおうと思います。ただし、魔力は100マジク以内で倒して貰います。」
一級魔法使いの生徒たちがざわつく。
通常、一般魔法使いの場合ベンティーを倒すには50000マジクが必要だ。
しかし、それを魔白たちは100マジクの魔力で倒さなければならないのだ。
「嘘、でしょ?」
一級魔法使いでも、世界一の魔法使いですらも、この授業内容に対しては体が震えた。
そんな震え上がっている最中、大魔女がこの教室に入ってきた。
「は?」
つい、あのクソババアを見て言ってしまった。そんな声に気づいたかのように、私の方を見て、にこりとクソババアらしくない笑みを浮かべた。
そして、一歩、一歩とこちらにやって来る。
一級魔法使いたちは震える体を押さえながら、大魔女が教室から出ていくのを待つ。
しかし、クソババアは出ていくどころか、私の方にやってきている。
「魔白 ルリア。ふふっ、今回もド派手にやってくれたわね。」
なんのことだ?ドロドロ魔物に関しては、既に話してあるはずだ。
「なんことですか?」
平然とした様子で、答える。
「ドロドロ魔物、についてですよ。」
「はあ?」
やべ、やってしまった。
「あ、えと、そのことに関しては、既に話をしてあると思うのですが。」
「はい。してくださいましたね?ですけど、私が今回、話しに来たのは、それと戦っている最中に、ついてです。」
クソババアは、顔は笑っているように見せているが、手の拳がプルプルと震えている。これは、、、怒っているな。
長年の付き合いだ。それぐらいわかる。だが、なんで戦っている最中のことで怒られなければならないんだ?
私は疑問に思いながら、クソババアの話に耳を傾ける。
「魔物と戦っている最中に、地球の子供らに見られたらしいですわね。まあでも、大人に見られる前に、、、知らない魔法使いが見えなくしてくれたらしいですね。それは、よかったのですけど、…でも、あなた以外に魔法使いは地球には送らないようにしているし、一体、誰なんでしょうね…」
大魔女がゴニョゴニョと言っていると、一人の生徒が目を輝かせながら言った。
「勇者様ではないでしょうか!」
「え?勇者?」
「はい!なんか、噂で知ったんですけど、勇者様って生きているらしくて。それにワープポイントに突っ込んでいった姿を見たって人が何人かいるんですよ。」
教室がザワザワとし始めた。魔白はまずいと思いながらも、その気持ちを押し殺して、クソババアから、何か質問が来るのではないかと考えていた。
「魔白。何か知っていますか?」
ほーら、来た。かつて一緒に旅した仲間だから何か知っているんじゃないかと思ったんだろうね。このクソババアは。
「いえ。私は一切、知りません。レオンはあの時、魔王を倒した時から見ていないので。」
いかにも悲しそうで、苦しいといった感じの様子を醸し出す。
ふふ、我ながらにいい演技だ。
「そう、ですか。まあ、そこはまた調べます。今回はそこではなく、魔白が魔法を使っている時に地球人に見られたという問題点です。」
一旦、落ち着いた教室だったが、またすぐにざわめく。
「見た地球人の記憶も今回は、消え去っていたので良しとしますが、今後、もう一度でも見られたとすれば、あなたは二度と地球へは行けないと思いなさい。そして、あなたを更に強くさせるために今回の授業は形成されています。よく、励みなさい。そして、あなたたちもですよ。」
クソババアは私から視線を外して、教室にいる数少ない一級魔法使いたちに向かって言う。
「いいですか!今回は魔白 ルリアのための授業ではありますが、あなたたちも対象ですよ!一生懸命、励みなさい!」
大きな声で叫ぶと、その声は教室中に響き渡った。
「はい!」
一斉に返事をしているが、私は勿論しない。するわけがない。こんなクソババアになんで返事なんかする必要があるんだよ。めんどい。
クソババアは何やら嬉しそうに笑って、ポケットに入っていたメガネを取り出して、かける。
そして、クソババアは教室を出て行った。
「さあ、みなさん。庭に行きましょう。」
先生が行った。それに従うように、生徒たちが庭へと向かった。
「魔白。あんた…」
「うっさい。邪魔しないで。100マジクで倒す方法、考えてるから。」
「はいはい、すいませんねえ。」
ネラが小さく溜息をついた。
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次回は3月1日に更新します!
今、あきらの方の話を書くより、魔白の方が書きやすいのなんでだ?
まあ、もう少し魔白の方で話が進むと思いますが、
よろしくお願いします!次回もお楽しみに!
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