これぞ、日常。
第16話 一級魔法使いのバカすぎる遊び
うん、なんだ?この状況…
魔白が…先生の字、めっちゃ汚くしてるんですけど…
え、ちょ、誰か、この状況説明してほしい…
「へへへ。ちょっとやり過ぎた気もするけど、クラスの奴らが笑ってるからいいでしょ?」
魔白がボソリと呟く。
先生は字が汚くなっていることを把握していないらしい。どんどん書き進めていく。
俺はノートに書き写したくても、写せない字の汚さなので、黙って先生の話を聞いているが、周りの男子や女子は何やら、くすくすと笑っている。クラスのほとんどの奴らが、ノートに書き写すことなんて忘れて、笑っている。
「ったく…」
俺は小さく溜息をつく。だが、ほんの少しだけ、先生の反応が気になったので、しばらく待つことにした。
すると、クラスの魔白と同レベルくらいのバカが、机に身を乗り出して言った。
「先生!字を、もう少し、綺麗に書いてもらっても?」
とても失礼な気もするが、先生の反応を待つ。今まで気づかなかったのだ。先生の驚く顔を見てみたい。
「は?なんだこれ⁉︎えっ、マジで言ってんの?」
国語の先生だ。うん、これは、とてつもなくダメージを喰らうぞ…そんな予想をしていると、絶望したような様子で黒板を見つめ、自分の字に触れる。
その様子があまりにも面白く、笑いをひたすらに堪えている人が数人いた。その中にはもちろん、魔白もいた。
「ぷっ、ふふふふふ…くくくくっ!」
魔白が完全にツボにハマっている。しかし、クラスにはいろんな人がいる。こう言う状況を好まない人もいるのだ。
早く授業進めてくれないか?という顔をしている人が、これもまた数人いる。
お俺も若干、その中に入りつつあった。もう、先生の反応は見れたしな。
俺も飽きてきたので、頭の中で、「戻す」魔法をかける。「ザウラン」そう唱えると、先生の字が少しずつ直っていく。
誰にも気づかれないスピードで。つまり、速さ的には瞬間移動並みの速さで字を直したのだ。
ふっ、俺って天才。
魔白みたいな褒め方になってしまったが、実際、俺は天才だ。
「あれ?先生、直ってます?」
一人の男子が言った。それに続いて、魔白が驚いた様子で「え?」とデカい声で発する。
すぐに俺の仕業だとわかったのか、前から俺に睨んできた。
「うわ…」
すっげえ怒ってる。まあ、仕方がないだろ。そろそろ授業に戻りたいしな。
俺は、魔白を見下すような目で見てやった。
しかし、その頃には魔白は前を向いていた。
だが、、、魔白はそれでは飽き足らず、また先生の字を汚くした。
「はあ⁉︎あいつっ!」
俺はその字を元に戻す。
だが、また魔白は汚くする。
「ふっ!」
魔白の得意げな声が聞こえてくる。
俺は、また戻す。
「よしっ!」
だが、魔白は繰り返す。
「ふふふん!」
楽しそうだ。
「くっそ、あいつ、調子乗りやがって!」
また戻す。
魔力を大して消費していないはずなのに、なんだか疲れた。
俺は最後に、魔法を跳ね返す、魔法を魔白に気づかれないように仕組んだ。
すると、魔白はまんまと引っかかった。
先生の字は綺麗なままで、魔白の字が汚くなったのだ。
「くっそ、あいつ。」
魔白の悔しくなっている声が聞こえた。
「勝った…」
嬉しさとスッキリさが俺の中で混ざり合う。
俺は。無事、先生の字を守ったのだ…
「おーい、あきら。」
「うん?」
「コンビニ行こうぜ。」
「おう!行くか!」
授業が終わると、俺は、上田と共にコンビニへと向かった。
「なあ、お前、昨日、公園にいなかったか?」
「は?」
見られていたのか?俺は冷静に判断をした。
「いや、お前が何やら一人で、ぶつぶつ言ってんのを見てさ。」
「ああ?多分、それ、虫がめっちゃいたからだと思うぜ。俺、昨日、やけに虫が多く寄ってきてさ、ひたすらに追い払ってたから。」
「あ、やっぱそうか?なんか、そんな感じしたんだよな。ならいいんだ。」
何故だか、上田が珍しく笑っていた。
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次回は2月19日に更新します!
公園で見てたのって、上田だったんだ…!自分でも驚き…
次回もお楽しみに!
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