第15話 一件落着したようですが…

「よっしゃ、いい感じ!これで、あと一発!」

魔力を手の平に集中させて、一息吐くと、「ブリッツ」と唱える。

わたあめを作る時のように、どデカい雷雲がドロドロ魔物の頭上に現れる。

「いっけ!3体同時に!アトサムタイ!」

唱えた途端、雷が落ちる。その雷は魔物に直撃した。

「ぎゅる、、ぎゅうううううううう!」

気持ち悪い鳴き声が響き渡り、ドロドロ魔物は地へと落ちていき、液体となって蒸発していった。その様子を魔白はまじまじと見つめていた。

「女神様が言っていた魔物共では、なさそうだけど…これ、多分、序の口って奴だよね。初めて、この言葉使ったような気がするわ。ま、!私は天才なんで、いくら強い魔物だからって、私の魔法には敵わないっての!ふふふん!」

魔白が鼻を高くして、言った。




俺は、その様子を下から見ていた。

何を言っているのかは、まるっきり聞こえないが、どうせ、自分を褒めているに違いない。

俺はそんなことを思いながら、箒に乗っている魔白を見つめていた。



そんな俺に気づいたのか、魔白がニコニコと不気味な笑みを浮かべながら、こちらに向かってきた。「人間には見えない魔法」を既にかけられていることは知っているらしく、堂々とした姿で、俺の目の前に箒で降りてきた。

「ふふふん、無事に倒せたわあ!」

いつもの魔白だった。

「そうか、そうか、よかったな。」

魔白は、じとーっと俺を見つめると、「けっ」と言って、箒から降りた。

「はあああ、ね、そろそろ魔法を解いてくれない?」

すっごい溜息をつかれてから、魔法を解いてくれという要求が来た。俺も溜息をついてやった。

「はあああああああ、お前な、わかってんの?

「はあ?なに?」

「周りを見ろ。ばーか。」

俺の言葉通り、魔白はキョロキョロと辺りを見回す。


公園内には子供の話を聞いて、来た親が「空を飛んでいる人」を探しに空を見上げていた。

「まま!ほんとにいたんだよう、箒に乗った人が!」

一人の女の子が言った。

「そんな人、見当たらないけど…」

女の子の親が言った。

「いたんだ!魔女が!」

小学生くらいの男の子が興奮気味で親に話している。

「ふーん、そう。」

あまり興味なさげな親が返事をしている。


「うわ。集まってきてる…」

「だろ?ったく、ほら、どっか移動しようぜ。ここじゃ無理だ。」

俺は魔白の頬にデコピンをする。

「痛っ!」

「今回の罰。少しは俺を頼りにしろ。このバカが。」

「へっ!絶対やだね!てか、お前にデコピンされる筋合いねえよーだ!」

「は?魔白!おいっ、待て!魔法解かなくていいのかよ!」

魔白が急に走り出した。俺は若干キレ気味で追いかけた。だが、なんだか一件落着した今は、この時間が楽しく感じた。






「あいつ、何、一人で騒いでるんだ?」





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次回は2月18日に更新します!

お?誰かに見られてしまった?ま、それは置いておくとして、

なんか、二人の距離感バグってないか?うん、勘違いだと思っておこう。

まあ、ほら、2人って親友だし?そういう距離感なんだよ!多分…

とりま、次回もお楽しみ!

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