第13話 女神の話

「魔白…お願いがあるの。」

「えっ、ちょ、この世界って、女神様の大地…!」

「魔白、よくお聞き…時期に来ます…」



「はあ?何が?そこはっきりさせておいて。」

「あ、は、はい。えっと魔物です。」

「なんの種類?てか、なんで私に頼むのよ。よっぽど勇者サマとかに頼んだ方が良くない?」

「えと、その、あまり勇者には負担をかけない方がいいのかと思いまして。」

「あっそう、私に負担をかければいいと思っているのね。まあ、いいけど。で?」

「す、すみません。その種類はベンティーを遥かに超える強さを持った魔物なのです。どうか、地球を救ってはくれませんでしょうか。それと、、、このことは決して勇者にはバレないよう、そして、勇者を守るよう、お願いします。」

古代ローマのような服装をした、女神様は深々と頭を下げた。

「いや、いいんだけどね、私の魔法なら一瞬だから。でもさ、なんで勇者には秘密という形で行うのよ?そこを知りたいんだけど。」

私は若干、キレながら女神に言った。しかし何故、自分がキレているのかがわからなかった。

「それは、その、、、勇者は使命を果たされましたよね?」

「そうだけど。3年前に。」

「はい。それは私でも存じています。しかし、使命を果たされた勇者は今、使命がない。つまり、役割を終えたのです。」

「え…ちょっと、待って。ほんとに待って。少し、察したけど、そんなわけ…」

「あるのです。あなたが察したとおりです。」

「そんな…」




「使命を終えた勇者は、この女神の大地の守護神となるので、『人間』という生涯をやめていただきます。」



いや、嘘でしょ?



なんか、ムカついた。マジでムカついた。

どうして?どうして、あいつがせっかく、平和な日常を取り戻したっていうのに、あんたたちの都合であきらが守護神にならないといけないんだよ。


私は、あいつの言う「バカ」なりに、この気持ちを押し殺しながら言葉を発した。

「ねえ、じゃあ、勇者をどうせ、殺すのに、なんで、知らん魔物から守らないと、いけないんだよ。」

感情を押し殺す。


かつて、共に旅した仲間だから、今、クラスメイトだから、私はレオンを、あきらを、女神からも魔物からも守りたいと、そう思ったんだ。


「それは、魔物が勇者を殺した場合、魔物側、つまり、 『魔の大地』の守護神になってしまうのです。」


あーあ、そいうこと。ダッる。まじでダルいわ。巻き込むなよ。

そんな言葉が脳裏に過っていったが、私は「あきら」を守るため、今は今だけは、女神側につくことにした。


「わかった。んじゃ勇者サマを守れと。」

「そうです…やって、くれますか?」

「ん。やるよ。守るだけなら余裕。」

私は平然として答える。先程のイラついた感情は何処かへと飛んでいっていた。

「それと、これだけ、あなたに話しておきますね。勇者は、あと3年後に守護神になってもらいます。それまで、守っていただけると…」

「3年ね。わかった。」

「物分りが良くて、助かります。どうか、よろしくお願いします。」




眠気が襲う。




眠りから覚める。




「いや、3年!?」

布団から起き上がりながら叫ぶ。

彼女に、「物分りがいい」なんていう言葉は一生、当てはまらないであろう。



「まって。3年?困る、そんなの、短いって…」



魔白は震える。

しかし、もう決定事項だった。


勇者は3年後には『守護神』になる。

そう、決まっていたのだ。



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次回は2月12日に更新します!

なんか、勇者の余命決まっちゃった…これからどうなっていくのやら。

自分でもわからない…です。

次回もお楽しみに!

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