第12話 ちょっとした違和感
「おはよー」
「おはよう!久しぶりー」
「おっす!元気か!」
「おはようございます」
「おはおは!」
色んな言葉や声が混じり合う教室で、俺は窓側の自分の席に座る。
朝日が斜め後ろから、俺の背中に直撃している。
だが、とても暖かい。やはり、朝日は好きだ。
俺は昔から、朝日というものが好きだった。目を覚ましてくれるし、気分が良いし、頭はスッキリするからな。
村で暮らしていた時は、太陽が昇る前に起きて、外に出て、村の近くにある山に登って、頂上でいつも朝日を見ていた。
「あきら、お前今日、日直。」
突然と話しかけられ、俺は驚いた顔して声がした方に顔を向ける。
俺の隣の席の上田だ。
「お前、おはようとかの挨拶なしに、日直の話かよ。」
上田は目を細めて、
「この俺がわざわざ、お前に日直だと言ってんだよ。んで、この一週間、何やってたんだ?」
やけに上から目線だが、俺も目を細めて言ってやった。
「カラオケ行った。」
その他は言えない。言ったら、普通にダメなやつだ。
「ふーん。」
こういう反応する奴だが、意外と根は良い上田だ。
「ったくよ、お前、俺に会えて実は嬉しかったりしないわけ?」
俺は少しふざけた調子で言ってみた。上田は俺の顔を見ることなく、俺のことを鼻で笑った。
「そんなことあるわけないだろ。」
上田は、机の中から本を取り出して、しおりがしてあるページを開き、読み始めていた。
「おい、体育館見たか?」
一人の男子が魔白に話しかけていた。
既に魔白は学校に来ていたらしい。たった今、気づいた。
「見てない。」
俺と同じ列にいるが、席自体は俺から3席くらい離れたいた。だが、話している内容は十分と思えるくらい、聞こえてきた。
「そうか。魔白も見に行こうぜ。」
「私はいいわ。だるいし。」
「はっ、言うと思ったわ。んじゃ。」
「バイバイ。」
本当に面倒臭いといった表情をしている。話しかけていた男子が出ていったことを見計らって、俺は魔白のところまで行き、話しかけた。
「よ。おはよ。」
「おう。あきら。おはよ。っていうか、あの魔法、なんだったんだよ。マジでキモかった。」
「ああ、あれ?人間に見られない魔法。」
「ふーん。」
なんか、冷たい。そんな気がして、俺は魔白にまた頭の中で呪文を唱える。
「わ!」
魔白の膝の上に花が一輪、ふわりと置かれた。
「えっ。」
「プレゼントってやつ。そんな暗い雰囲気を出していると、怖いしな。」
「どうも。」
魔白は手を振って、その花を手に取り、スマホで写真を撮った。
「これ、どうすりゃ良いのよ。」
「うん?ロッカーにでも入れておけば?」
「いや、枯れるし。」
「ふ、それがちゃんと枯れないようにしてあるんだな!」
「うわ。うっざ。じゃ、ロッカーに入れておく。」
魔白は立ち上がって、廊下にあるロッカーに向かった。
俺はそんな魔白を追いかけて、聞いた。
「なあ、魔白はグリーナから連絡は来てんのか?」
魔白はロッカーに花を入れながら、頷いた。
「ああ、きてるよ。なんか今度会わないかってやつでしょ?もう返事はしてあるよ。」
「そうか。」
「どうしたん?なんかあった?」
「いや、早く返事書かないとなーって。」
「なんだよ、そんなことか。」
そんな言葉を交わしていると、チャイムが鳴った。
「ほら、戻るよ。」
「あ、ああ。」
何かに違和感があった。
なぜ、魔白がこんなにも大人しいんだ?
ま、気にしても意味ないか。
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次回は2月8日に更新します!
またまた何かが起こる予感…!
魔白、なんかあったん?話聞こか?状態…
次回もお楽しみにです!
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