学校、始まる。

第11話 学校がある日の朝

なんだか、休みが川の流れのように、早く過ぎ去っていくのだが…

魔白の課題を半分やり、

兄さんと買い物に出かけたり、

クラスメイトの奴らと一緒にカラオケでバカ騒ぎしたり、

公園で見つけた小さな小人を『向こうの世界』へ送ってやったり、

勉強したり、

とにかく時間が流れるように過ぎていった…



「ああああああ〜、明日はとうとう学校が始まる…めんどいなあ。」

行きたくないという気持ちが9割だが、あとの1割はどうやら、行きたいと思っているらしい。

まあ、その気持ちが起こる原因は、新しい体育館になっているからだろう。

魔白がいい感じに壊してくれたお陰で、めっちゃくちゃ綺麗な体育館なったらしいのだ。因みに、俺はまだ見ていない。兄さんが教えてくれた。

「行きたくないけど、行きたいような気がする、こんな気持ちになるのが、なんかムカつく…」



そんな独り言を呟いていると、一通の手紙が窓ガラスを通り抜けて、机の上に乗った。

「へ?何だよ、急に…」

多分、向こうの世界からの手紙だろう。

そんなことを推測して、俺は手紙を手に取り、開ける。

便箋を出して、開く。


{元気かしら?レオン?かつて一緒に旅をした私よ。ふふっ、覚えているかしら?どうやら、あなたが生きていること、バレたらしいわね。今度、良かったら魔白と一緒に会わない?暇な時でいいから。お返事待っているわ。}


うん、この字、この書き方は完全にグリーナのものだ。

グリーナという人物は、三年前まで一緒に旅をした仲間だ。とても上品な性格だが、グリーナの過去を知っている人はいない。俺でもわからない。この手紙が来るまで、どこで何をしているのかも知らなかった。

「元気にしているっぽいな。」

何だか、安心した。

元々、魔白以外の仲間とはあまり、やり取りをしていなかった。

その理由はただ一つ、そういったやり取りをして、俺が生きていることがバレたら元も子もないと思ったからだ。


だが、もうバレてしまったが。


返事を書こう。そんなことを思っていたが、時計に目をやると、既に時計の針は午前2時を指していた。

「寝るのが、先か…明日、返事を書こう…」

俺はそのまま、ベットへと潜り込んで、眠りについた。






「あああああ!遅刻するううう!って思うじゃん?ふっふっふっ、こういう時の魔法は一躍、活躍するもんよ!へへへ。」

そんな独り言を呟いて、アパートの窓から箒に乗って、外に出る。

「完璧!もう、私ってば天才すぎて!ふふふふ。」

そんな自分にうっとりとして、さらに箒の進むスピードを加速させていく。

「はあ、にしても、ダルいな。なんで私が–––」




「ああっ!魔白!バカっ、あいつ、見えてるぞ!」

俺の頭の上を箒に乗って横切っていった。

空を見上げている人がいれば、一発バレるだろう。

「ほんと、バカが!」

俺はそんな言葉を連発させながら、一級魔法使いの姿が人間には見られないよう、頭の中で呪文を唱える。


シャット。


頭の中で呪文を唱えて、その魔法が発動する魔法使いなんて、そうそうにいない。だが、勇者として崇められる彼には容易い事だった。

これで多分、周りの人間には見えないだろう。

魔白が箒に乗りながら、俺の魔法にかかったことに気づいたのか、キョロキョロと下を見始めた。

すると、俺を見つけられたのか、魔白がとてつもなく、睨んでくる。

「あはは。」

俺は笑って誤魔化すが、無理があった。すぐに呪文を解けという顔をしている。

「わかった、わかった、」

俺は、指をパチンと鳴らす。

箒に乗る魔白を見上げると、柔らかく微笑みかけてきていた。

どうやら、機嫌がなおったらしい。

「ったく、見つかっても知らねえからな。」

俺は独り言を呟いた。


俺は視線の先を変えた。

いつも通りの景色が目の前には広がっていた。

しかし、俺が先ほど、指鳴らしたこともあって、何やらすれ違う人の視線を感じた。

そんなこんなで、俺は学校に到着したのだった。


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次回は2月3日に更新します!

とうとう学校が始まったということで、魔白とあきらには楽しんでもらいたいと思います!

皆さんもぜひ、楽しんでいただけると幸いです!

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