第7話 俺の正体

「あの、すみません。」

話しかけらて、振り向こうとしたが、体が固まる。

振り向いていいものだろうか。振り向いて、顔がバレたらどうする…

「あのお、王女様があなた様をお呼びでして…少し、付き合ってもらっても?」

俺は振り向くことなく、話を聞いた。

王女が?なんで…というか、あの王様と妃ども、子供を産んだのか?3年前に?

「この私になんのようで?」

まだ振り向かない。

そう聞いた時、何やら幼い声が聞こえてきた。

「おい、下僕。」

は?俺は思わず、後ろを振り向く。目の前には何もいない。

「下だよ、下僕。この私が話しかけていりゅのだかりゃ、そりぇぐりゃいわきまえろ。」

声がした方に、下を見る。小さい、ふりふりのピンク色のドレスを着て、髪の毛はくるくるに巻いて、まるで西洋の人形のような姿だが、とんでもない口の悪さだった。

俺はつい、口をあんぐりとさせて、ぼーっと見つめる。

こんな時間に何故、王女様なんかが出歩いているんだ?おかしすぎだろ。

「下僕、お前、とんでもない爆量の魔力をもっているだりょ?」

まずい。こいつ、勘がいい。

「何を言うのですか?私はごく一般魔法使いですよ。」

「ふーん。なりゃば、そのフードをとりぇ。」

こいつ、面倒くさいぞ。俺は帰りたいってのに。付き添いの人は…うわ、立ち寝してやがる。まじかよ…

付き添いの執事のような方は完全に立ち寝を行なっていた。

「それは、難しいですね。私、あまり顔を見られるのは好きじゃないのですよ。」

周りに助けを求めようと思ったが、歩いている人なんて、1人もいなかった。

「おい、下僕のくせに、私の願いに反対をするの?いいかりゃ、さっさととれえ!このお、下僕うううう!」

王女がそう言うと、風が巻き起こった。

これは…風の精霊…

おれのフードは呆気なく、取れていった。

「うわっ。」

バサアという音と共に、俺の顔が露わになる。

オワッタ。

「下僕…お前って…………だりぇえ?」

セーフ!マジセーフ!

俺は急いでフードを被ろうとするが、風の精霊がそれを拒否する。

「でも見たことありゅう、もしかして…………!」

今度こそ、オワッタ。うん。オワッタ。



「勇者さま?」



あははは…あは、バレたわ。逃げよっと。

そう、俺はこの世界の『勇者』として崇められる存在…本名はメラルレ・レオン。

しかし、今はそんなことを言っている場合ではない。

今は、逃げるのみ!

「あああ!逃りゅなああ!」

しかし王女様が叫ぶ時には、俺はもうワープポイントに体を突っ込んでいた。



====================================

次回は1月20日に更新します!

少し、間が開きますが、よろしくお願いします!

えっと、うん、主人公、『勇者』設定致しました…

これからもよろしくお願いします…!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る