正体、バレる。
第4話 バカはバカでも、たまに疲れる
俺は課題を終え、眠るところだった。
ブーブーブー
電話が掛かってきた。
俺はベットから起き上がり、机に置いておいたスマホを取る。
スマホ画面には、『魔白』と書かれていた。
俺は通話ボタンを押す。
もうすぐに寝れるところだったのにな。なんて思いながら、スマホを耳に押し付ける。
「なんだよ。」
「あきら〜…あのクソババアが、あのクソババアがあああ!」
これはすごい荒れ様だな…と思いながら、
「どうしたんだよ。っていうか、あの後、大丈夫…じゃあなさそうだな。」
「うう、それがな〜あのクソババアがしばらく、地球では大規模な魔法は使うなって。一級だから、少量の魔法でもベンティーを倒せるってよお。ひどくね?ひどすぎるわあああ!」
俺は、まあそうだろうなと思った。あの大魔女様ならそうするだろう。地球に『魔法』という存在をバラしたくない。という意図のものだろうな。そんなことを推測しながら、魔白の話を聞く。こりゃあ、荒れるな。
「あきら、ほんっと、あのクソババア殺してもいいかな⁉︎」
「いいから、一旦落ち着け、今のお前じゃ、何をしでかすかわからねえ。これから、そっちに行くから待ってろ。」
「マジ⁉︎あきらがこっちに来るなんて、3年ぶりだよ!楽しみしてるわ。」
「おう、じゃあ、用意するから。切るぞ。」
「うん。」
通話ボタンを切った。
俺は、何を言っているんだ?ふと、そう思った自分がいた。もう、あっちの世界へは行かないと3年前、決めたのに、なんで、行くなんて、魔白に言ってしまったんだ?でも、あいつには親とか頼れる存在があまりいない。そう考えたら行くべきだ。魔法に関しては自業自得のように思えるが、あの荒れようだと、大分、大魔女様からのダメージが大きいだろう。というか、あの口調、震えている。あいつは、いつもそうだ。何かを隠そうとすると、声が震えたり、変にテンションが高くなる。だから、行かなければならない。そう思った自分がいたんだ。だから、行くんだ。
俺は、部屋着だったため、急いで私服に着替える。
「鞄は…いらないな…これで十分だ。」
そんな独り言を呟いて、部屋を出る。階段を下っていると、兄さんと会った。
「おま、その格好…」
どうやら、兄さんは察したらしい。
「行ってこうようと思う。」
「なんで。急にどうした?」
「魔白が、大魔女様と話して、荒れているんだ。それに、あいつの声が震えているんだ。ほら、あいつ、親とかいねえだろ?だから、俺、行ってやるって言っちゃってね…だから、心配で…」
俺は震えていた。あの世界へ行くのが怖く感じる。しかし、兄さんはそんな俺の頭を強く撫で、
「そうか。まあ、あれぐらいのことをすれば、ルリアちゃんも大魔女様に叱られるわw」
と笑っていた。俺はそんな兄さんが好きだ。震えていることに兄さんも気づいているのだろう。でも、それを深くは知ろうとしない。興味がないのではないか?と思った時期もあったが、その様子だと、あえて触れていないことがわかってきた。
「兄さん、知ってんの?」
はははと笑う兄さんに俺は聞く。兄さんは、頷いて、
「おう、知ってるとも。バイトの移動中に体育館を破壊したところ、見ちまったし!マジでおもろかったけど、まさかベンティーがいるなんてな。」
兄さんは大学生で、バイトをしている。バイト先に向かう時に見たらしい。兄さんも俺と同様ベンティーが見えるし、魔白が魔法で姿を消したとしても見える。
「俺も驚いたよ。それで、なんか、ほら、魔白って一級魔法使いじゃん?」
「そうだな。」
「それでなんか、大魔女様に一級魔法使いはベンティーなんか、少量の魔法で倒せるとか言ったらしいんだ。」
「はあ?何言ってんだ?ベンティーなんて、少量の魔法なんて、無理に決まってんだろ!」
「うん。そいうこと。だから、魔白、めっちゃ怒ってるし、あの感じだと結構メンタルにきてるっぽい。」
兄さんはふっと笑って、俺の背中を押す。
「なんか、しょうもないような気もするが、ルリアちゃんは頼れたり、話せる人もいないからな…行ってこい。」
「うん。行ってくる。でも、もう俺は…」
「向こうの世界は、きっと『勇者様』を待っているぞ。」
「え?」
兄さんの急な『勇者』発言に俺は戸惑う。
「さっさと行け。箒は玄関にある。」
「お、おう。」
俺は玄関に向かう。
靴を履き、立てかけてある箒を取り、外に出た。
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次回は1月5日に投稿します!
なんか、思ってたんと違う方向に進み始めている様な気がする…
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