バトルなんか書いてどうするの

 あー。

 うんうん。

 君は表面に憧れてるだけだね。

 バトルか。

 あー。

 どうして彼は怒ってるんだい。

 何でバトルなんか始めたの。

 あのね。

 漫画世界以外でバトルって見たことある?

 通り魔だね。

 うん。

 バトルって犯罪なんだよ。

 で?

 この彼が、あえて犯罪した理由何。

 何でこんな普通の顔してるの。

 あー。

 バトル漫画を描きたかったらね。

 まず、その世界が「世紀末」だということを伝える必要があるんだ。

 うん。

 終わったけどね。世紀末。

 普通に21世紀来てるし。

 あー。どうしようか。

 バトルを描きたいと言うか君はイラストを描きたいんだね。

 あーあ。

 イラスト集か。


 +


 あのね。どういう漫画を描きたいかは置くとして。

 それ、「連載」になる?

 何十巻くらい引っ張れる?

 いや。

 設定なんて後付けでいいんだけど。

 あのね。

 設定というのは「引き延ばし」のためにあるんだ。

 つまりだね。

 主人公有利の設定は「要らない」。

 主人公が不利になる設定を盛り込め。

 いいかい。

 設定も「敵キャラ」なんだよ。

 面白い敵キャラを書け。

 ウケるためだ。


 +


 あー。

 漫才を描きたいか。

 あー。

 君は少しだけまともだ。

 はー。

 TVのああいうのが嫌いで仕方ないか。

 はー。

 あー。

 ラノベは好きか。なるほど。

 それはね。イラストが可愛いからだ。

 芸人は生身だ。

 君の感性は真っ当だ。

 ようやく人間に会えた気がする。

 そうだね。

 あえてアドバイスしない。

 いつかまた会おう。


 +


 あのね。

 ツブヤイターに描いて欲しい。こういうの。

 連載を勝ち取りたい? あのさあ。

 あー。

 守銭奴め。

 あのさあ。

 うーん。

 働かないで喰って行きたい?

 うん。

 あー。

 そう。

 ギャンブラーでもやるの?

 あのさ。

 働くの反対は「戦う」なんだ。

 君はバトルしたいと言ってるんだ。

 いや、強いならいいんだけど。

 この絵かい。

 悪いことは言わない。働け。

 あー。と言うかだ。

 顧客は「労働者」だ。

 労働者に喧嘩を売るな。


 +


 能力バトル?

 はあ。

 あれかい。

 あー。

 あのさ。能力バトルと「無双」って相性が最悪なんだよな。

 主人公が最強? 最強能力?

 敵にも同じ能力を出せばいいだけなんだよな。

 しかも2人。

 これで勝ち。

 いいかい。

 作家はね。魅力的な敵を書くのが仕事だ。

 主人公は平凡でいいんだ。

 敵を格好良く。

 はい。復唱。

 敵が自分の分身なんだよ。

 主人公は何つーか「子供」なんだ。

 子供は厳しく育てよう。

 スパルタなんだよね。


 +


 あー。

 バトルする奴って頭おかしいんだよ。

 犯罪者だ。要収監。

 

 +


 いいかい。

 勝ったからって得る物はない。

 相手の国土がぼろぼろだからだ。

 貧乏人からは金を取れない。

 戦費で使い果たしてるんだ。

 だから、商売なんだ。

 あー。

 うーん。

 リアリティか。

 リアルに寄せてどうするという問題もあるな。

 それ売れるの?

 売れるかどうか。

 リアル?

 はあ。

 ネットニュースでいいよ。

 大切なのは「エンタメ」だ。

 言い換えれば、どういう「オチ」をつけるかだ。

 おい。逃げるな。

 お前から挑んで来た論争だ。


 +


 あー。

 めでたしめでたしでいいんだけどさ。

 大切なのはバトルだし。合ってるよ。

 あー。

 バトルな。

 このまったくピンチにならないこれをバトルと強弁するのか。

 あー。

 はあ。

 困る。

 低レベル攻略とか知らないのかな。

 アレが1番きついんだけど。

 うーん。

 いやー。

 あー。

 うーん。

 バトルに巻き込まれるって、おかしいんだよな。

 カタギじゃないんだ。

 警察呼べない事情があるんだ。

 あー。

 これな。

 うん。

 人によっては自業自得に映る。アホかって。

 あー。

 アホは売れないんだよな。

 あー。

 うーん。

 どうしような。

 君を賢くする方法?

 ボク、教師じゃねーし。

 賢い奴は就職するよ。

 つまりクリエイター目指してる君は馬鹿。

 おい。やろうってのか。


 +


 就職か。

 人生の一大事だ。

 退職か。

 絶望だ。

 あー。

 この2つを知っているか、いないか。

 全然違うだろうな。

 しかし、30過ぎてから漫画家を目指されても。

 皆、天才少年なのか。

 はー。

 どうしようもないな。

 漫画家か。

 はー。

 どうしようもないんだな。

 子供向けで。

 あー。

 ガキ大将なのか。

 俺は絵が上手く描けるよーか。

 はあ。

 ツブヤイターがあるんだけど。

 うーん。

 喰って行くって厳しい。

 んー。

 はあ。

 あー。

 さようですか。

 そうですか。

 そうですね。

 やりたいようにやるのが1番ですよ。

 あーあ。

 はあ。

 どうせアドバイスなんか聞かないよ。

 それでいいと思うしね。


 +


 あー。

 うーん。

 どうしような。

 はあ。

 うーん。

 はあ。

 何でヒロインに魅力がないのか?

 はあ。

 あー。

 そうか。

 聞きたい?

 あー。

 うん。

 主人公が博士キャラだからじゃないかな。

 惚れないと思うよ。

 あー。そうだね。

 努力の時代が終わったんだよね。恋愛に関しても。

 努力は報われる。

 嘘だった。

 日本は今も不景気だ。

 恋愛?

 非モテは一生非モテ。

 洒落にならんのよ。

 この主人公と、このヒロイン。

 おい。

 何でボクに水をぶっかけた。

 あー。

 これな。

 主人公とヒロインを逆にしてみたら?

 ヒロインを博士キャラにしてみたら。

 おい。

 あのさ。

 こっちは時間を取ってやってるのに。

 すみませーん。警察呼んで。


 +


 あのさあ。

 うーん。

 漫画かあ。

 力作だねえ。

 あー。

 へらへら笑うな。うすのろ。

 読みにくいって言ってるんだよ。

 冒険って古い。

 世界の隅々までインターネットで見れる時代だ。

 何で秘境に行く?

 お宝? あるわけないよ。

 飯はどうする。飯は。

 あー。

 何で同じ服着てるの。

 あ、作画ミス発見。これだと女の服だよ。


 +


 山登りか。

 馬鹿としか思わない。

 あー。

 山菜採りか。

 命がけだな。

 金稼いでるなら仕方ないけど。

 あーあ。

 あのさあ。

 うーん。

 いやー。

 はあ。

 何と言うかね。

 バイトテロ以降、こういう陽キャはウケないんだよ。

 社会の害だって。

 迷惑なの。

 働け。

 一攫千金を目指そうとするな。

 まったく。

 あのさあ。

 あのよう。

 どうしろと?

 あのな。

 お前な。

 あのな。

 今時こういうトラップか。

 あるわけねーだろ。

 あのさあ。

 まったくさ。

 あー。

 うーん。

 あー。

 あのさ。

 えーと。

 何を言えばいいんだ、

 うん。

 あー。

 どっかで見た。

 これ以上の感想はない。

 

 +


 なんだな。

 バイトテロ以降だな。ネットが厳しくなったのって。

 あー。

 こういうアホどもを野放しにするな。

 まあね。

 口に入る物だしね。

 食べ物って命がかかってるんだよ。

 なあなあで済まされない。

 食の恨みは恐ろしいと言うか。

 食べ物を粗末にするアホは人殺しだ。

 あー。

 TVもなあ。

 同情の余地はあるんだろうか。

 あー。

 ネットの大炎上見て、何も学ばなかったら馬鹿だな。

 ボクはマイナー作家だから炎上させる価値ねえ。

 晒し、なんだよなあ。

 クリエイターの立場から見ると。

 あー。

 うーん。

 ふん。

 はー。

 うん。

 あー。

 はあ。

 なるほど。

 今週も話が進まない。

 ボクにはもう、どうでもいいや。

 極めたんだよ。創作。

 運ゲーか子作りゲー。

 あー。

 旦那が運ゲーやってたら困るんだけど。

 そうなんだよな。

 この世は全て運ゲーだと分かっちゃった。

 有能な奴って、運がいい奴のこと。

 別に?

 偉くないよ。

 むしろ茶化してえ。

 しかし、そんなもの描いてもなあ。

 経営者になろうとして討ち死にする馬鹿がいなくなっちゃう。

 やめてよ。

 ボクの豊かな生活のために生贄は要るんだよ。


 +


 そうか。

 世の中が馬鹿ばかりでないと困るのはボクなのか。

 あんな賢い友人たち、二度と持てないのか。

 ボクはトップクラスだ。だから孤独なのか。

《ようこそ。悟りの小道へ》

 ?

《何が欲しいですか》

 ボクと対等の智者。

《アイツらは強いと見抜かれます》

 そうか。ボク死ぬのか。

 冬林くんや岬くんと友達やると。

 岬くんは分かってるっぽいな。

 あー。

 虚しい。

 何のためにボクは。

《ねえ。関羽殿》

 何でや。

 誰が美髯公やねん。

《くすくすくす》

 あー。分からん。

 何でこうなった。

 小説家を目指して以降、漫画が死ぬほどつまんない。

 手抜きだ。アレは。

《どこが手抜きなのですか?》

 あー。

 人気取りか。

 読者を子供と思ってやがる。

 20代以降は見向きもしねえよ。

《ほう》

 それだから売り上げなくて死ぬんだよ。

《毒舌》

 あー。

 出版社にも迷惑なような。

 この程度の作品を持って来られても困るんだろうな。

 ボクは世相のパロディなんだよ。

 パロディ作家なんて雑誌に1人いれば足りるんだよ。

 頼むから王道を目指してくれ。

 だけどなあ。

 王道なあ。

《創作の世界で王道とは?》

 どこかで見たって意味。

 あー。

 王道とは何か。

 示す義務があるかなあ。

《真面目ですわ》

 うーん。

 何がいいんだ。

 あー。

《重ねゲームやりましょう。漫画×漫画》

 パロディ×パロディ。

《ストリート×ストリート》

 紫陽花×紫陽花。

《鏡×鏡》

 悪魔を召喚するな。

 おあとがよろしいようで。


 +


《悪魔×悪魔でよろしいですか》

 続けるんかい。

《天使×天使》

 かたつむり×かたつむり。

《オセロ×オセロ》

 まるばつ×まるばつ。

《ワイン×ワイン》

 ウィスキー×ウィスキー。

《ピーナッツ×ピーナッツ》

 虎×虎。

《猫×猫》

 萌え×萌え。

《モンスター×モンスター》

 フレイム×フレイム。


 +


《つまらないとは何だと思いますか》

 あー。

 目新しくない。

《漫画は2流小説なのです》

 おい。

 やめてくれ。

 ボクにも立場があるんだよ。

《小説投稿サイト以降は誰でも満画家になれるのです》

 ひどいことを言うな。

 神様なの?

《ただの英霊》

 ふーん。

 まあ、いいけど。

《どうして流すんですか?》

 あの世のことは知っちゃいけない気がする。

《なるほど》

 君にインタビューしても正直に答えるはずがない。

《なるほど》

 人は嘘をつく生き物だ。

 信用するのは温い。

《なるほど》

 そうだねえ。

 1人称小説は全部嘘かも。

 3人称小説は作者が騙されてるかも。

《ふうん》

 2人称小説って聞かないね。

《ですわね》

 作れるかな。

《ふんふん、はあはあ、言ってるだけの小説》

 なるほど。

 相槌小説か。


 +


 作家・漫画家になりたいか。

 あー。

 厳しい道だ。

 逆説的にエンタメなんて要らないんだ。

《そうなるのですか》

 なくても平気。

 それがエンタメ。

《プロのお言葉とも》

 いや。極めたし。

 同じ山を二度登ってもしょうがない。

《はあん》

 と言うか、油断大敵。

 同じ仕事を二度やりたくないんだよ。ボク。

 怖い。

《あなたが怖いわ》

 そう?

 嬉しいね。はっはっは。

《人間よ》

 君も人間なんだろう?

《そうですわね》

 そこは「世界よ」と言うべきかな。

 たとえ神様だろうと、この世界は思い通りには出来ないよ。

《はあん》

 人間の心は曲げられないから。

《ですわね》

 ああいう熱血ノリってないの。

《ないのか》

 古い時代の価値観は間違っていると証明された。

 バイトテロ野郎のおかげでね。

《はあん》

 協力ゲームは嘘なんだ。

 利用ゲームが本当だ。

《あらあら》

 奴隷ゲーム。

 逃げるのが正解。

《ふーん》

 女も奴隷を繋ぐための道具。

《本当に困る》

 それは君も奴隷ゲームの参加者だという証明だよ。

 放っておいてくれればいいのに。ボクなんて。

《友達か》

 洗脳だよ。

 社会に出たら友達は助けてくれない。

 せいぜい教科書と辞書を貸してくれるだけ。それが友達だ。


 +


 人を信用してはならない。

 だって、ソイツにはソイツの人生があるからだ。

《はーん》

 と言うより、ボク以上の勉強家なんて滅多にいない。

 仕事を振りたくないんだよ。

 自分でやりたい。

《あー》

 本当、死ぬ。

 ただし、それは物理的に無理なんだ。

《でしょうね》

 仕事を振ってやる。

 ミスしたらぶちのめす。

 それしかないんだ。

《出世したいだけなのに》

 出世したいか。

 ボクが楽をしているように見えるってことか。

《あー》

 この上ない侮辱だ。

 ボクは下っ端がうらやましいと言うのに。

《ですかー》

《姉ちゃん。代われ》

 あー。

 何が何やら。

《どうして人を嫌う?》

 助けてもらったことがないから。

《ほーう》

 レベル7くらいまでは頼りになる。

 だけどレベル30を目指すと「レベル7でいいじゃん」とか言い出す。

 ぴーちくぱーちく。

《ほう》

 いいわけないだろう。

 少なくともレベル85くらいの奴は過去にいたよ。

 ボクもレベル40くらいまで上げないと不安なんだよ。

《はあ》

 何。

《大衆は運命を甘く見てるんだな》

 それか。

《苦難の歴史を知らない。モーセとか》

 モーセか。

 ああ、ありましたね。

 あー。

 そうですね。

 何が起きるか分からない。

 レベル上げをしたいだけなのに。

《それは侮辱に映るんだな。「ボクたちがサボってると言うのか」と言う》

 ふうん。

《通常業務しながら、レベル上げなんて無理だ》

 あれ。

《お前、二度とリーダーやる気はないだろう》

 まあね。

 あー。

《裏切っているのは、お前の方だ》

 そうか。

 はー。

 へー。

 クソが。

 裏切りなんて当たり前だろう。

 お互い様だ。

《通常業務組にはないんだな》

 へえ。

《お偉いさんが裁いてくれるから》

 面倒なんだよ。

 お互い監視くらいしとけ。

《あー》

 お前らの人生なんか、いちいち見てられるか。

 邪魔。

《通常業務組が「非常事態」に備えるのは職務怠慢なんだよ》

 へえ。

 面白いことを聞いた。

 ボクにはそうは思えない。

 この世はすでに「非常事態」だ。

 ネットでやってる。

 これに備えないのは自業自得だ。

《なんだろうな。支配者の視点から見れば》

 日常よ。永遠なれか。

 終わったんだけど。日常。

《参ったね》

 とっくに終わってるんですけど。バブル。

 日常ってバブルのことだよ。

 バブルが終わったら戦争開始。

《参った》

 あんたもそろそろ帰りな。

 邪魔。

《あー》

 思考整理くらい1人で出来ますから。

《分かった分かった》

 帰る気ねえな。


 +


 あのさ。通常業務組。

「私はバブルを弾けさせた無能です」と百遍言え。

 でなければ組むのはなしだ。

 誰のせいでボクが苦労してると思ってる。

 組みたくないと言うなら、それでいいよ。

 失敗した癖にプライドを持つな。

 運が悪かった?

 なら、お前に実力なんてない。

 お前がやってるのはサイコロだ。

 お前は運がいいだけなんだ。

《この世は全部運》

 そう。

《分かっているか、いないか》

 そう。

《それが君の主張かね》

 被告人扱いかい。

《気に障ったなら謝る》

 ふーん。

 真実だし。

《怖いんだけど》

 狼は本当に来てるんだよ。

 見れば分かるだろう。

《弱ったね》

 ボクは姪っ子の顔が見れたから死んでもいい。

 この世は運ゲー。

 もう欲しい物なんてない。

《はあん》

 幸せなんだ。ボクは。

 織鶴のために死ぬ。

《ふうん》

 何か。

《いや》

 言いたいことがあるなら言えよ。

《愛がないわけではないのか》

 うん。

 姪っ子ラブだよ。

《皆をパニックにさせて何がしたい?》

 ? あー。

 ボクが上だと証明出来る。

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