第5話

自分の想いが花火としてこの世に遺ったらキレイでしょう?

死ぬまでに自分の想いを無駄にせずに形として遺せたら。


…それにしても、挨拶王子はどうしてそんなに優しいのだろう。

今まで相当痛みとか経験してきたのかな。


誠人「…ねぇ、朱里」


朱里「…ん?」


誠人「俺、実は子供産まれたんだ!」


朱里「…え?誠人、結婚してたの?」


誠人「そうそう!

…あれ?言ってなかったっけ?」


朱里「うん…そっか、良かったね!

おめでとう!」


朱里はおめでとうと言ったが、内心めちゃくちゃショックだった。

だって誠人に他に好きな人がいて、しかも結婚してたなんて全然知らなかったから。


今まで私にくれた沢山の優しさは何だったの?


それから半年の月日が流れ、朱里は誠人に一度も会わなかった。

その半年の間に、朱里は今までのいじわるな人達、美里も自分の捉え方が悪かったのではと気づいた。


そんなある日、朱里は交通事故に遭い、死んでしまう。


だけど、生きてるときに火薬魔法に目覚めてたから、ある夏の日-…


誠人の近くで、花火がパッと開く。


誠人「…あれ?今、朱里の声がした?」


朱里「誠人、今、幸せですか?

私は誠人が大好きだったよ。偏見が多い世の中で誠人はいつも前向きな意見をくれて、私を楽しませてくれて。

本当は私、誠人の大切な人になりたかったしまだ生きたかったけど、私の精神疾患から生まれた火薬魔法で誠人に愛を遺したよ!今までありがとう!さようなら!」

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火薬魔法をひとつまみ 冬咲さおり @saorihon9

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