モスと真菜
なっなんで佐竹真菜が?思わず声が漏れそうになった。そういえば真也は一人遅れて来るはずだから。と言ってたっけ、
「真菜、遅いぞ、とりあえずアップしてこい。」
「オッケー真也。ライト奥って使っていいよね」
遅れてくるっていってたやつが佐竹ってことか?まぁこれで帰れるな。
結局次の回の守備から佐竹は、俺に変わってライトに入った。俺は万が一けが人が出た時ように一応ベンチで待機しろとのこと。まぁどーせ帰ったとこでやることないしな。そのまま試合が進み6回の裏となった。誰もがこのまま試合が終わると思っていた。しかし事件が起きた。
2番手の真也が2点を失い、さらに連打を浴びワンナウト1、3塁のピンチでバッターは相手の9番なんとか耐えてくれれ!そう思った次の瞬間高い金属音がした。打球は高く上がりキャッチャーがオーライと叫ぶ。よし打ち取った。これでツーアウっ!事件が起きたのはその時。キャッチャーとサードが交錯た。キャッチャーは大丈夫そうだが、サードの横山が顔面を強打して歯が折れたようだ。今のプレーを一言で表すと、普通に考えればキャッチャーフライだが、何故かサードが突っ込んだ。そんなかんじだ。おまけに真也もヘトヘトだ。どうするんだろう
「橋岡くん。ピッチャーやってみないか」
えっ監督?でもなんとなくそんな気がした
「まぁ状況が状況なので別にいいですけど」
「真菜防具つけろ!橋岡くんピッチャー。真也サード 修司ライト行けるか?」
「はい!」
なんだかめんどくさいことになった。キャッチャー佐竹?まぢか…
横山を病院に送った後試合が再開された。投球練習をした感じ、意外と狙ったとこ行くな。とちょっと自分のコントロールの良さに惚れ惚れしていた…すると佐竹はマスクをとってこちらに歩いてきた。なんだろう、そんな悪かったんかな
「聞き忘れてたけど、変化球ってなんかある?」
いやそれ普通最初にきかねといいたいのをぐっとぐーっと抑えて
「基本真っ直ぐ。変化球は一応スライダーがある」
「ありがとう!じゃグーがまっすぐ、パーがスライダーでよろしく!しまってこー!」
「おっおうしまってこー」
すげーこれがコミュ力か。と思いながら彼女の後ろ姿は小さくともどこかたくましく見えた。
初球インコースへ真っ直ぐ空振り よし
2球目アウトローへ真っ直ぐボール
3球目インローへ真っ直ぐ空振り 追い込んだ、あと1球
サインはパー、スライダーか。自信ないな(笑)でも握りは覚えてるあとは感覚がついてくれば!
4球目インコースへスライダー
空振り シャー
自然と小さくガッツポーズが出た。野球って楽しい!そう思っているのは紛れもない自分だと認めるのには少し時間がかかった。
アクシデントを乗り越え最高の雰囲気で迎える最後の攻撃。先頭は佐竹か。正直どんなバッティングするのか楽しみだ。そう思った次の瞬間相手のピッチャーが投じた初球を佐竹はいとも簡単そうに右中間へと運んだ!まさか…相手の外野手もそう思ったのだろう。一歩目が遅れた。佐竹は一瞬ライトをみたと思うと更に加速し、勢いよく一塁を踏み、二塁へ走った。その姿はまるで大声援を受けながら独走状態に入った競走馬のようにかっこよかった。一体何者なんだよ佐竹真菜!でも一応経験者として負けらんねよな!勝ってやるあいつに
それは3球目だった。芯で捉えた打球は伸びてフェンスの外へ。累審の手が回る。2ランホームランだ
やった、やった、やったー入ったとにかく嬉しいただそれだけだった
次のバッターも続いたが、反撃もそこまでで、試合は5-2で敗れた。
「えー本日の試合だが、みんな成長したな。たしかに助っ人橋岡くんに助けられたことは多々あった。それでも私の目にはお前ら全員が主役に見えた。新人戦でも今日みたいな試合を目指そう!」
顧問の挨拶が終わり、解散となった。家の方向が一緒だから真也一緒に帰ろうと思った。そして真也に伝えたいことがあった。
「真也、一緒に帰ろう。真也に話したいことがあるんだ」
「もちアンドろんのでもちょっとまって。」
「じゃ今ちょっと話せる?」
「ちょっと、な」
「俺もう一回野球やりたい!」
「真也くーん買ってきたよ!あっ橋岡くんいたんだ。てっきりもう帰ったと思ってた。じゃ橋岡くんにも買ってくるね!ちょっとまってて!」
「はっ?お前佐竹真菜と付き合ってんのか?」
このときの何気ない会話で人生が変わることはまだ誰も知らない。
こうしてモスの中学生生活にとってのプロローグが終わり、新たな章が幕を開ける
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